水面のふたご
★『ふたごの革命』の続きです。とりあえず「ふたごシリーズ」としていますが仮の名前です。 ------------------------------ 三日歩き続けた。 駆け抜けるようにして裏道ばかりを通り、階段を上がり、坂を登り、山へ入った。山で二度の野宿。三度目もあるのかと巌勝が思っていると、急に足を止めた縁壱が、標識のように腕を伸ばした。人差し指の先を見る。 山の麓に、こじんまりとした夜景が広がっていた。明かりはぽつぽつとまばらだが、周りが真っ暗なため、とてもきれいだった。「街に行くのか?」 巌勝が訊くと、縁壱は手を下ろして腰に当て、頷く。「今日は宿で眠れますよ、兄上」「危なくないのか」「…
2022/01/30 23:21