海外の見方

研究調査でも実生活でも、プラシーボ（プラセボ）は心身を癒す強力な効果があります

プラシーボ（プラセボ：「砂糖の錠剤」とも呼ばれる）の概念は、1800年代から存在していた。 著者情報：Elissa H. Patterson氏, ミシガン大学精神医学・神経学臨床助教授、Hans Schroder氏, ミシガン大学精神医学部臨床助教授 友人が肩のマッサージを受けているのを見て、自分の肩がほぐれるのを感じたことはありませんか？ 「はい」と答えた方、おめでとうございます。 あなたの脳は、「プラシーボ効果（プラセボ効果、以下プラセボ）」を生み出す力を使っているのです。 「いいえ」と答えた人は、あなただけではありません。 ありがたいことに、脳は訓練可能なのです。 1800年代以降、プラ…

2022/04/19 05:12

なぜ人は下痢をするのか？

原因が何であれ、下痢は不快なものです。 著者情報：Hannibal Person氏, ワシントン大学医学部 消化器・肝臓内科 助教授 ※排泄物の話ですのでお気をつけください。 消化器官は、食べたり飲んだりしたものをすべて分解して、栄養を吸収し、体に必要なエネルギーを作っています。 分解して使うことができない固形物はすべてウンチとして排泄されます。 ウンチには様々な形、大きさ、色、硬さがあります。 私のような消化器系の問題を持つ人々を治療する医師は、ブリストルスケールと呼ばれるものを使用して、ウンチの質感を評価します。 これは、タイプ1（分離した固い塊）からタイプ7（固形物のない液体）までのもの…

2022/04/19 04:23

赤い黄金：西アフリカのパーム油帝国の興亡

赤い黄金パーム油 著者情報：Pauline von Hellermann氏, ロンドン大学人類学上級講師 西アフリカに自生するアブラヤシは、何千年もの間、人々と深い関わりを持ってきました。 約2500年前の乾期をきっかけに、西アフリカから中央アフリカにかけてアブラヤシ林が爆発的に拡大し、人類の移動と農業の発展を可能にしました。 また、人類は種子散布と焼畑農業によってアブラヤシの繁殖を促進しました。 考古学的な証拠によれば、5,000年前にはすでにヤシの実とその油が西アフリカの食生活に不可欠な要素となっていました。 18世紀にダホメ王国でパームワイン用に作られた「王室」アブラヤシ農園を除いて、西…

2022/04/19 03:46

腸内細菌叢と脳の直接対話を解読する

腸内細菌叢と脳の直接対話を解読する。©Institut Pasteur / Pascal Marseaud 腸内細菌叢の副産物は血液中を循環し、免疫、代謝、脳機能など宿主の生理的プロセスを調節しています。 Institut Pasteur（パリシティー大学の提携研究機関）、Inserm、CNRSの研究者らは、動物モデル（実験動物）の視床下部ニューロンが細菌の活性の変化を直接感知し、それに応じて食欲や体温を調節していることを発見しました。 この発見は、腸内細菌叢と脳の間で直接対話が行われていることを示しており、糖尿病や肥満などの代謝異常の新たな治療法につながる可能性があります。 この研究成果は、…

2022/04/17 02:40

プライオメトリック・トレーニング：ジャンプやスキップの運動は、筋力や体力の向上に役立ちます。

縄跳びは、プライオメトリック・トレーニングの一般的なフォームの1つです。 著者情報：Lindsay Bottoms氏, ハートフォードシャー大学 運動健康生理学研究者、Jon Brazier氏, ハートフォードシャー大学 ストレングス＆コンディショニング上級講師 人は週に150分、中程度から活発な身体活動をすることが推奨されています。 しかし、このアドバイスの中で、人々がしばしば無視する部分は、週に2回、筋肉を強化する運動をするべきだということです。 筋肉を強化する運動というと、ジムでウェイトリフティングをする姿を想像する人が多いでしょう。 しかし、ジムに行かなくても、筋肉を強化する方法はたく…

2022/04/17 02:08

超加工食品は私たちの健康、そして地球を破壊する

著者情報：Kim Anastasiou氏, ディーキン大学 博士号候補生・研究栄養士（CSIRO）、Mark Lawrence氏, ディーキン大学 身体活動・栄養研究所公衆衛生栄養学教授、Michalis Hadjikakou氏, ディーキン大学 科学・工学・建築環境学部生命環境科学科 環境サステイナビリティ専攻 講師、Phillip Baker氏, ディーキン大学 身体活動栄養研究所研究員 私たちの世界は大きな課題に直面しています。 増え続ける人口を養うために、高品質で多様な、栄養価の高い食品を十分に作り、それを地球の範囲内で実現しなければならないのです。 これは、世界の食糧システムが環境に…

2022/04/17 01:07

心臓を守るメラトニンの役割 - これまでのエビデンス

著者情報：James Brown氏, アストン大学 生物学・バイオメディカル科学准教授 メラトニンは睡眠ホルモンとして多くの人に知られており、実際、メラトニンの研究のほとんどはそれに焦点を当てたものです。 しかし、メラトニンは抗酸化物質でもあり、DNAを損傷する有害な「フリーラジカル」から細胞を保護する働きがあります。 心臓病は世界一の死因であり、毎年約1790万人が亡くなっていることから、この作用は研究者にとって特に興味深いものです。 研究によると、心血管疾患のある人は、健康な人に比べて血液中のメラトニン濃度が低いことが分かっています。 そして、メラトニンの濃度と心血管疾患との間には強い逆相…

2022/04/16 23:02

『バイノーラル・ビート』とは何か、私たちの脳に影響を与えるのか？

著者情報：Monica Barratt氏, ロイヤルメルボルン工科大学 社会・グローバル研究センター、デジタルエスノグラフィー研究センター 副学長上級研究員、Alexia Maddox氏,ロイヤルメルボルン工科大学 ブロックチェーンイノベーション/・ハブ リサーチフェロー、Jenny L. Davis氏, オーストラリア国立大学 社会学部上級講師、Naomi Smith氏, フェデレーション大学（オーストラリア）社会学講師 「デジタル・ドラッグ」とも言われる「バイノーラル・ビート」について、ネットで見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。 バイノーラル・ビートを聴くことで、睡眠、ストレス、…

2022/04/16 22:38

居住地が認知症リスクに影響する可能性

著者情報：Yen Ying Lim氏, モナシュ大学 准教授、Emily Rosenich氏, モナシュ大学 神経心理学博士研究員 社会経済的地位は、医療へのアクセスや医療の質など、健康上の成果の重要な指標となるものです。 ヘルシー・ブレイン・プロジェクトの新しい研究では、オーストラリアの都市部、地方、農村部の成人4,656人を対象に、より不利な地域に住む人々は記憶力が低く、認知症を発症するリスクが高いことが示されました。 認知症リスクにおける健康の不平等 認知症は、オーストラリアにおける死因の第2位です。 急速に高齢化が進むオーストラリアでは、医学的な飛躍的進歩がなければ、認知症患者の数は2…

2022/04/16 21:41

チベットの死者の書とはどんな本なのか？

生と死の輪. Wikimedia commons 著者情報：Pema Düddul氏, サザンクイーンズランド大学 ライティング、編集、出版 准教授 1927年に英語で出版されて以来、「The Tibetan Book of the Dead（チベットの死者の書）」は、西洋のチベット仏教に関する書籍の中で最も人気があることが証明されています。 現在、少なくとも21の翻訳が複数の言語とフォーマットで出版されています。 また、学術的な議論から仏教の実践ガイドに至るまで、複数の専門家による解説書も存在します。 『チベット死者の書』は、チベット文学の散文の模範であり、死と死という普遍的な経験について、…

2022/04/16 21:00

永久凍土の融解が北極圏の地形を揺るがし、気候の温暖化に伴う地表の隠れた変化に拍車をかけている

北極圏では、数千年にわたり永久凍土と氷の楔が積み重なっている。それが解けると、周囲の地形が不安定になる。©AP, Edward Schuur, University of Florida 著者情報：Mark J. Lara氏, イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 植物生物学・地理学 助教授 北極圏のあちこちで、景観に異変が起きています。 数平方マイルの大きさの巨大な湖が、数日のうちに消滅しているのです。 丘陵地は傾斜しています。 氷に覆われた地面が崩れ、平らだった場所が波打つようになり、場所によっては大きく沈んだ多角形の広大な原っぱが出現しています。 これは永久凍土（地表の下にある長い間凍結…

2022/04/16 18:22

あなたは古着を買うことがありますか？あなたはもっとおしゃれになる可能性が高い

著者情報：Louise Grimmer氏, タスマニア大学 アソシエイト・ヘッド・リサーチ・パフォーマンス兼上級講師（小売業マーケティング担当）、Martin Grimmer氏, タスマニア大学 アソシエイト・プロヴォスト兼マーケティング学部教授 古着は地球にもお財布にも優しいだけでなく、スタイルにこだわる人（体型のことではなくその人独自の姿勢や形式）ほど古着やアクセサリーを購入する傾向があることが、私たちの新しい調査で明らかになりました。 2020-21年度には、オーストラリア人の72％が少なくとも1点、古着を購入しています。 古着を購入する人は、お金を節約するため、あるいは環境への影響を減…

2022/04/16 17:15

キノコは言葉を使って会話しているのだろうか？

キノコは言葉を使って会話しているのだろうか？ 著者情報：Katie Field氏, シェフィールド大学 植物-土壌プロセス教授 動物の頷きや踊り、鳴き声、蛇の鳴き声から、植物の葉や根が発する目に見えない化学信号まで、地球上のほぼすべての生物は、何らかの形で互いにコミュニケーションをとっているのです。 しかし、菌類はどうでしょう。 それとも、もっとエキサイティングなことが表面下で起こっているのでしょうか？ 西イングランド大学アンコンベンショナル・コンピューティング研究所のコンピューター科学者Andrew Adamatzky氏による新しい研究は、この古代の王国が、これまで考えられていたよりもはるか…

2022/04/16 02:49

インドがなぜロシアに甘いのか？その軍事、外交、エネルギーの関係を見てみましょう。

戦略的なニーズに基づいた緊密な関係。 AP Photo/Manish Swarup 著者情報：Sumit Ganguly氏, インディアナ大学 政治学部特別教授、インド文化・文明におけるタゴール講座担当 世界の民主主義諸国がこぞってウクライナにおけるロシアの行動を非難する中、一人だけ批判を控えていた国がありました。 それは最大の民主主義国であるインドです。 インド政府は、この危機的状況下で、明確な立場をとることを慎重に避けてきました。 この問題を扱うすべての国連決議に棄権し、モスクワに対する経済措置で国際社会に加わることを拒否し、米国から制裁を回避する可能性があると警告されました。 ウクライナ…

2022/04/16 02:20

極超音速ミサイルの仕組みと独自の脅威

極超音速ミサイルは、探知や対ミサイル防衛を避けるために進路を変更することができる。U.S. Air Force graphic 著者情報：Iain Boyd氏, コロラド大学ボルダー校航空宇宙工学科教授 ロシアは2022年3月18日、同国西部にあるウクライナの武器庫に対し、極超音速ミサイルを使用しました。 怖いと思うかもしれませんが、ロシアが使った技術は特に高度なものではありません。 しかし、ロシア、中国、米国が開発を進めている次世代極超音速ミサイルは、国家と世界の安全保障に大きな脅威を与えているのです。 私は航空宇宙エンジニアで、極超音速システムを含む宇宙と防衛システムを研究しています。 こ…

2022/04/16 01:54

ナイル川沿いのトンボス遺跡が、古代スーダンで栄えたヌビア文明の窓を開く

数千年前、スーダンのこの地域の人々は、死者を埋葬するために地下の墓を使っていた。Michele R. Buzon, CC BY-ND 著者情報：Michele R. Buzon氏, パデュー大学人類学教授 スーダン北部のトンボス遺跡は、砂漠の中に円形の岩山が点在しています。 少なくとも紀元前2500年頃には、この地域をクシュまたはヌビアと呼んでいた古代住民が使用していた地下墓地、トゥムリが確認されているのです。 私は、人骨とその副葬品を発掘・分析する生物考古学者として、20年以上トンボスで活動しています。 トンボス遺跡 - ナイル川沿い、現在のスーダンに位置する古代文明ヌビア（クシュ）は、北の…

2022/04/15 23:21

海洋とそこに生息する最大の生物は、二酸化炭素を貯蔵する鍵になるかもしれない

クジラは海の栄養分を循環させ、炭素貯蔵量の向上に貢献する。 著者情報：David King氏, ケンブリッジ大学気候対策研究所創設者、ケンブリッジ大学気候危機諮問グループ（CCAG）議長、 Jane Lichtenstein氏, ケンブリッジ大学気候危機アドバイザリーグループ（CCAG）アソシエイトリサーチャー 世界各国の政府は、地球の気温上昇を1.5℃に抑えるよう努力することに合意していますが、その行動からは、この課題に真剣に取り組んでいることがほとんど見られず、排出量は年々増加し続けています。 2022年4月4日に発表されたIPCCによる最新の気候分析レポートでは、このパターンが続くと警告…

2022/04/15 22:36

歌うことの5つの意外な効果。フロー状態、運動、健康的な加齢など

歌うことの5つの意外な効果。フロー状態、運動、健康的な加齢など 著者情報：Melissa Forbes氏, サザンクイーンズランド大学 コンテンポラリー・シンギング上級講師 他の人と一緒に歌うと、素晴らしい気分になります。 集団で歌うことは社会的な絆を促進し、オキシトシン（「絆ホルモン」）を上昇させ、コルチゾール（「ストレスホルモン」）を減少させることが分かっています。 しかし、集団で歌うことだけが効果的なのではありません。 一人でいても、歌うことが体に良いことは意外とたくさんあるのです。 歌うことは、私たちがより幸せに、より健康的に、より充実した生活を送るために役立つ、自由で身近な活動なので…

2022/04/15 20:56

ロシアのウクライナ侵攻はどうすれば終わるのか？過去の戦争で和平交渉がどう行われたか。

©Boris Roessler/AP/AAP 著者情報：Philipp Kastner氏, 西オーストラリア大学 国際法担当上級講師 ロシアのウクライナ侵攻は、戦場では解決しそうにありません。 ウクライナの流血と破壊を終わらせることは交渉で可能ですが、そうした交渉は慎重に仲介される必要があります。 これまでのところ、すべての試みは失敗しています。 欧米の首脳からローマ法王に至るまで、プーチンに戦争終結を呼びかけてきたように。 現在、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がロシアとウクライナの調停役を務めています。 このように、別の国や政治家が調停役を引き受けることで、過去のいくつかの…

2022/04/15 20:17

鳥が長距離を移動する理由と、私たちにできること

ミサゴがイギリスで夏を過ごす 著者情報：Louise Gentle氏, ノッティンガム・トレント大学 野生生物保全学主席講師 春の訪れを感じられるようになった英国では、夏の訪問者が到着するのを目にするようになりました。 ミサゴはすでに巣に戻り、チフチャフは縄張りを取り戻すために歌を歌い、パフィン（ニシツノメドリ）はイギリス諸島の繁殖地に到着しています。 ミサゴ チフチャフ パフィン（ニシツノメドリ） 数世紀前、ツバメは冬になると池や湖の底、あるいは月の上で眠ると信じられていましたが、もちろんそれは全くのナンセンスです。 動物が移動するのは、自分の生存率、そして子孫の生存率を高めるためです。 ま…

2022/04/15 19:14