インディペンデント・ワーカーの重要性
オケージョナル・ワーカーの増加
今日、インディペンデント・ワーカー(組織に属さない独立した労働者)が新しい働き方として注目され、その数が急速に伸びつつある。米国でインディペンデント・ワーカーを支援するMBO Partnersの年次レポートによると、2021年時点で5,110万人にのぼると言われており、米国内での年次推移も2015年を境に急速に伸びていると報告されている。
とりわけ“Occasional(労働時間を設定しないフリーランサー)”が2020年の1,580万人から2021年に2,390万人と51%も急増していることは特筆すべきだろう。なぜなら、一定の勤務時間のなかで働くという従来の労働観から、自らの能力や経験が生かせる仕事をこなして結果を出すという業績中心の労働観に大きく転換しつつあることを示しているからである。言うまでもなく、労働も需要(雇用者)と供給(求職者)の市場によって成り立っているため、オケージョナル・ワーカー(フリーランサー)へのニーズが労使ともに高まっていることが背景にあると考えられる。
労働観が変化した背景
こうした労働観が変化しつつある背景について、私なりに考察したい。
組織が一定の業績を上げることは、古今東西あらゆる組織にとっての究極的な目的であることには変わりがない。その意味から、時間給などに盛られる勤務時間(拘束時間)をベースにした賃金制度は、雇用者が働いた時間を一律に計測することで賃金を公平に支払う上での一手段であったと考えられる。時間給という手段に基づく業績(目的)達成には、決められた時間内でどれだけの生産性が挙げられるかが問われ、そのためには雇用者にモチベーション向上を求めることはもちろんのこと、仕事をいかに効率的に割り振るかといったマネジメント技法が強く求められる。
こうした管理技法は、産業革命以降長く続いた大量生産体制のような大量の業務をこなすには極めて有効な手段でもあった。その象徴がヘンリー・フォードが自社の自動車工場で行った生産手法や経営思想である“フォーディズム“で、大量生産時代の成功モデルは“科学的管理法”と呼ばれ20世紀半ば頃から全世界に普及し、現代組織論のバイブルにもなった。“かんばん方式”として有名なトヨタ自動車の生産方式(トヨティズム)もこうした考え方を基本としている。つまり、生産工程を細分化し、それぞれの組み
2021/09/24 17:16