奇妙な小説

嗤う女 最終章（その六）

「あ、思い出した。私に言ったわ！もう、この仕事から脱け出せないって。お金もいいし、気持ちがいいって言ってたわ！ 汚い！汚い！汚い！汚い！」 テーブルをひっくり…

2011/06/30 19:40

嗤う女 その五

真っ先に加奈子の目に飛び込んだのは、大きいコルクボードだった。一面に写真が貼り付けてある。 一瞬、足元で百足(むかで)を見つけた感覚に陥った。写っている女性の…

2011/06/30 19:30

嗤う女 その四

行くあてもなく、図書館で本を読んでいると、翔太が幼稚園から帰ってくる時間帯になった。普段は、目の前のバス停で、幼稚園専属のバスが翔太を降ろしてくれる。図書館か…

2011/06/30 19:25

嗤う女 その三

夫の誠が、いつもゴミを出しに行ってくれる。忘れてしまったのだろう。玄関にゴミ袋が置いてあった。 階段を下り、ゴミ捨て場へ向かった。まだ、ゴミ収集車が来ていない…

2011/06/30 19:20

嗤う女 その2

翔太を見る眼が艶かしい。呼び方も“翔太くん”から“翔太”に変わった。週に一度必ず翔太に物を買い与えている。「困る」といっているのに、笑っているだけで聞き入れて…

2011/06/30 19:15