ADHDとして生きるということ⑰ 最終回・再出発に向けて
心療内科のアドバイスに従い、僕は自宅療養でうつ病と向き合うことを決心した。 休職初日は七時前に目が醒めた。 昨日までなら、とっくに職場で仕事の準備にかかっている時刻だった。本来の始業時刻の2時間だ。暖房もかかっていない社内はひどく寒い。それでも無償奉仕の早朝出勤者たちはジャンバーを羽織り、白い息を吐きながらデスクに向かっている。さしずめ、いまごろはみんなコンビニのサンドイッチでも頬張りながら、起動中のパソコン画面を眺めていることだろう。そんな様子が、ぼんやりと天井を眺めているうちに浮かんでくる。睡眠薬の効き過ぎなのか、それとも抗うつ剤の副作用なのか、眠気がひどくてトイレにも立てない。僕はもう一…
2022/02/13 20:09