「下北沢について」 親子の時間のこと
わたしと同世代の、とくに女性には、思春期によしもとばななさんの作品を読んで、自分より少し年上の主人公たちの生き方に憧れを抱いたという人が多いのではないだろうか。わたしの周りの女の子たちも「キッチン」とか「TSUGUMI」とか、繰り返し読んで、よしもとさんのむつかしくない日本語で描写された、普通の生活の中で異様に美しく輝く瞬間や、主人公のすこし風変わりな友人や同居人との関わりに、どうしようもなく心惹かれていたと思う。 高校生くらいまでは新刊を追いかけていたのだが、大学生になる頃、「むつかしい」とわざわざ書くのはどうしてなんだろう、「異様に」って使いすぎじゃないだろうか、わざとだと思うけどどうして…
2020/12/25 14:32