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2020/05/29

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  • 輝く白髪

    私の頭に白髪が混ざっていた。 しゃがんで介助をする事が多いから、頭をよく見られる。 チヨさんが度々 「綺麗な頭だね」 と、言ってくれる。 「ええっ、こんなごましお頭の何処が綺麗なの?」 と聞く。 「白髪が綺麗だよ」 と、言う。 「そんな事言ってくれるのはチヨさんだけです」 と、ちょっと複雑な思いで鏡で確認してみる。 確かに見ようによっては白髪だけが輝いて見えるのかも、と思う。 でも、やっぱり髪が白いと老けて見えるし、みっともない気がする。 私は白髪染めをする。 暫くはチヨさんからお褒めの言葉はないが、また白髪が出てきたら褒めてもらう。そして私はまた白髪染めする。 チヨさんの賛辞を白髪染めの合図…

  • 輝く白髪

    私の頭に白髪が混ざっていた。 しゃがんで介助をする事が多いから、頭をよく見られる。 チヨさんが度々 「綺麗な頭だね」 と、言ってくれる。 「ええっ、こんなごましお頭の何処が綺麗なの?」 と聞く。 「白髪が綺麗だよ」 と、言う。 「そんな事言ってくれるのはチヨさんだけです」 と、ちょっと複雑な思いで鏡で確認してみる。 確かに見ようによっては白髪だけが輝いて見えるのかも、と思う。 でも、やっぱり髪が白いと老けて見えるし、みっともない気がする。 私は白髪染めをする。 暫くはチヨさんからお褒めの言葉はないが、また白髪が出てきたら褒めてもらう。そして私はまた白髪染めする。 チヨさんの賛辞を白髪染めの合図…

  • 今日はスペシャルデイ

    トモコさんは、 「いいの」「危ないよ!」「ダメよ~」 と、よく言っている。 とにかく身体に触られるのが嫌いだし、車椅子で移動するのも危ないらしい。 大概は 「いいの、いいの」 「危ないよ、危ないよ」 というように、1つの単語の連続だが、この3つの単語が一度に出て来るイベントがある。 それはトモコさんの爪を切る時である。 「いいの、危ないよ、ダメよ~」 と大騒ぎになる。 そんなに嫌がられると確かに危ない気がする。 しかし、どのスタッフも騒ぐのは分かっても、伸びた爪で靴下を履かせるのはもっと危ないので仕方なく半ば強引に爪を切らせてもらう。 慣れたスタッフは、 「はいはい、危ないね~ 危ない、危ない…

  • 謎の変換装置

    「今日は木曜日かね?」 『いいえ、今日は火曜日です』 「えっ、木曜日!歯医者来るね。歯を診てもらわないと困る」 『だから、今日は火曜日ですから、歯医者さんはお休みです』 「えっ、弁当?弁当なんて要らないよ」 『弁当じゃなくて、歯医者さんは、お・や・す・みです』 「えっ、饅頭貰った?」 『・・・・』 と、サチエさんとは、まあこんな漫才の様な会話を毎日している。 こちらが言った事が、全く違う言葉になって帰って来る。 『お昼ご飯ですよ』 「えっ!警察?」 とか、 『少し休みましょう』 「えっ!サンマが焼けた?」 とか。 サチエさんの耳は一体どうなっているのだろう。 特殊な変換装置でも付いているのでは…

  • 道産子の歌

    キヨさんは 「あんた何処出身?」 と質問するも、私が出身地を言ってもちっとも聞いていない。 そして、 「私は道産子」 と言って、不思議な歌詞の北海盆歌?を歌う。 その北海盆歌は出だしは 「はあ~北海名物数々あれどよ~♪」 と始まって、途中なんちゃらかんちゃらで、最後は 「ハア、売り手があっても買い手がない」 というものである。 何番もあって長いので、ゆっくり聴きたいけど中々ゆっくり聴く機会がない。 が、途中のなんちゃらかんちゃらの部分は何を言っているのか興味がある。 少しずつ覚える事にしたのだが、ただなんとなく聞くだけだと、何故か全然頭に入って来ない。 「あんた何処出身?」 が、あの歌を歌う合…

  • 時間の国の私

    タマエさんは腕時計をしていないと不安になるそうだ。 何時も革ベルトのおしゃれな腕時計をしている。 時間もピッタリ合っている。 それなのに、 「今、何時?」 と、聞いて来る。 「時計してるでしょ?」 「字が小さくて見えないんだよ~」 と、時計を見ながら言う。 残念な事に、文字盤がとても小さいのだ。 「もっと見えやすいの買って貰ったら?」 「どうせ見えないからこれでいいわ」 それなら、腕時計の意味なんてないのでは?と思ったが、口には出さなっかった。 腕時計の意味なんてどうでも良くて、タマエさんにとって時計はお守りみたいなものなのだ。 時間は分からなくても、時計があると安心っていう気持ち、分からなく…

  • ノーベル○○賞

    タロウさんの友人の知り合いだか、知人の親戚だか、とにかく知っている人に近い人にノーベル賞を頂いた方が居る様な話を聞いた。 タロウさんは認知症で、今ではその話の真相を確かめる事は出来ない。 でもその事がとっても心に残っているらしく、何かにつけて「ノーベル賞」と言って、『ノーベル賞』を乱用するようになった。 大声で「ノーベル賞、ノーベル賞」と言えば、これは職員を呼んでいる。 「ダメだ、ダメだ」も「ノーベルダメ、ダメだ」とか言っている。 寝ている時寝言でも言っている。 固い物は食べられないから、 「ノーベル固いで賞」 そして、ついにはトイレに行きたい時 「ノーベルウ○チ賞~」と言うようになった。 「…

  • 今夜のドッキリ

    深夜の巡回で、「とうとう幽霊を見た!」 と思ってドキッとした。 4人部屋はカーテンで仕切られている。 薄暗い部屋のカーテンの下から2本の白い足が覗いていた。「もしかして、アイコさん立ってますか?」 カーテンを開けると普段は車椅子のアイコさんがベットの柵に掴まって、ちゃんと靴を履いて立っていた。こんな事は今までに無かった。一人で歩いて転んだりしたら大惨事になると思うと 2重のドッキリだ。 ああ、そうなる前に見つけて良かったと天を仰だ。他の職員が、「以前心臓が止まるかと思ったほど驚いたことがある」 と話をする。 「巡視時、AさんのベットにB さんも寝ていて、ベットから4本の腕が覗いていた」 と言う…

  • メッセージソング

    「ご飯まだですか?お腹すいたよ〜」と、フミさんが言う。 「はい、少しお待ちください。順番にお配りしていますから」 と、スタッフが答える。 するとフミさんはあの童謡を歌い出す。 『待ちぼうけ~♪、待ちぼうけ~♪』 「私を部屋に連れてって、早く帰りたいのよ」 と、フミさんが言う。 「少しお待ちください。順番にお連れしますので」 と、スタッフが答える。 するとフミさんはあの童謡を歌い出す。 『叱られて~♪ 叱られて~♪』 「さあ行きましょう」 と、手を出すと、(こりゃまた失礼しました)とでも言うように必ず 「アハハ」 と笑うフミさん。 私は長女に生まれたということもあり、あまりわがままが言えない。 …

  • ハッピーバースデー

    ヒロヨさんは96歳の誕生日を迎えた。 みんなで誕生日の歌を歌ってお祝いをした。 でもヒロヨさんは、 (はあ?なんのことでしょう) とでも言うように、知らん顔をしていた。 「今日はヒロヨさんの誕生日ですよ。おめでとうございます!」 と、耳元で言ってみる。 ヒロヨさんは 「へえ~」 と、驚いた様に小さな声で呟かれた。 私はこの仕事をしていて不思議に思うことがある。 お年寄りの年齢がちっとも覚えられないのである。 85歳を超えた辺りからあやふやになって、みんな年より若く見えてしまう。 90歳を過ぎている方は特にだ。 誕生日に「○○歳に成りました。おめでとうございます」と言っておきながら、1週間もすれ…

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