727.野村吉三郎海軍大将(27)政治家に信念を持つ傑物が居たら軍部に引きずり廻されることなどあろうはずがない
次に、野村吉三郎は、パリ講和会議の光景と、三大国巨頭について、自身が見聞した興味ある回想を次のように語っている。私が今日でも忘れることの出来ないのはヴェルサイユ宮殿“鏡の間”における平和条約調印式の光景である。式場に憤然として現れたドイツ全権の姿は恰も屠所の羊の如く、一語も発せず黙々として調印する様子は、まことに敗者の悲哀をそぞろに催わせるものがあった。それにつけても当時のドイツに鉄血宰相ビスマークのような傑れた人物の居なかったことが悲劇を更に大きくしたものと思う。それから私の最も興味を惹いたのは三巨頭(Bigthree)である。そのうちのウィルソンは在米中も時々演説を開いて居た。態度は荘重であったが所謂雄弁家という方ではなかった。その政治思想はリンカーンの“人民に依る人民の為の政治”(Governmentof...727.野村吉三郎海軍大将(27)政治家に信念を持つ傑物が居たら軍部に引きずり廻されることなどあろうはずがない
2020/02/28 08:58