私が悲しいのは、

私が悲しいのは、

今年の一番夏が濃い日、海に行った。好きな女性と一緒に。車を借りて街を出て、海に向かった。お盆の渋滞に巻き込まれつつ、慣れない高速道路を中速で走った。運転中、よそ見をしない私は彼女がどんな表情をしているか見ることができなかったけれど、気配は極めて楽しそうだった。彼女が好きなバンドの音楽を流して、それに合わせて軽く彼女が鼻歌を歌った。それらを好ましいと思った。 年の初め、私は職場を変えた。そこにいた彼女は、歳は私の一つ下で、本と音楽と酒と美味しいご飯を好む、知的でとてもかわいい人だ。 彼女とは映画や文芸や政治の話をした。ユーモアを交えつつ。その時間が心地良いと感じた。楽しいと思った。同じ言葉を持っ…