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まさか新宿駅の地下街に、秘密の入り口があるとは思わなかった。 西口の高速バスターミナル方面へと行き、地上へと出る階段のすぐ脇に小さなドアがある。一見すると、たんなる鉄の板だ。取っ手も鍵穴も見当たらない。 わたしは、あらかじめ教えられていたシークレット・コードを叩き込んだ。こぶしで、「コンコココン、コココココンコン、コンコココン」と。 鉄の板はギイッと音を立てて、内側へ倒れた。狭く真っ暗な通路が現れる。 辺りを見回して誰もいないことを確かめると、素早く体を滑り込ませた。ずっと奥に、非常灯の光が緑色に灯っている。そのわずかな明かりのおかげで、周囲の壁がかろうじて確認できた。「こちら、むぅにぃ。潜入…
2019/12/20 06:58