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2019/10/19

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  • 最終章 Tokyo

    もう、11月が終ろうとしていた。エドがレイを追ってニューヨークに移って半年以上が過ぎていた。 デジタル•ウェーブ•インターナショナルのスタジオ事業部では、千夏がダンスサイトのある...

  • 13章 Over the rain -輝き-

    セントラルヒーティングで暖められたリビングの大きな窓の向こうには、灰色に曇ったマンハッタンがモノクロームの写真のように広がっている。 「今日はとても冷えているよ」 エドがそう言い...

  • 13章 Over the rain -淡い輪郭-

    目を覚ますと、見慣れない天井がぼんやりと映った。微かに雨の打つ音がする。 (……ここは、どこだろう?) レイは、自分がどこにいるのか、すぐには分からなかった。目をこすりながら、ゆ...

  • 大人のバレエ ちょっとウラ事情 私がバレエをやめた理由 [後編]

    私が所属していたスタジオは、掛け持ちなどを禁止しておらず、大っぴらに「○○のオープンクラスは……」と言う会話も日常茶飯事でした。 本番が近づくにつれ、私は少しでもレッスンをしたく...

  • 12章 Forever and ever -心の雲-

    エドが突然の風に驚いてリビンングの方を見ると、レイがバルコニーの手すりに手をかけ下を覗き込むようにしていた。 次の瞬間、彼は弾かれたようにレイに駆け寄り彼女の腕を取ると、部屋の中...

  • 12章 Forever and ever -灰色の空-

    エドのアパートは、グランドセントラル駅から歩いて数分のところにあった。まだ新しいその高層アパートは、ドアマンが常駐する高級アパートメントだった。 レイはタクシーを降りると、少し躊...

  • 大人のバレエ ちょっとウラ事情 私がバレエをやめた理由 [前編]

    私がバレエをやめたのは、もう5年くらい前でしょうか?大好きだったバレエ、80歳まで踊りたいと思っていたバレエ。けれど、私はやめてしまいました。 決して、バレエが嫌になったのではあ...

  • 12章 Forever and ever -帰る場所-

    ドアをノックする音のあと、パトリックが遠慮がちに 「いいか?」と言いながら、ドアを開けた。 エドは、腕を緩めるとレイの肩を抱き寄せたまま、パトリックの方を向いた。 「ああ、大丈夫...

  • 12章 Forever and ever -再会-

    アンが出て行くと、レイは緊張した面持ちで、ベッドの隅に腰掛けた。本当に、彼が?と未だに信じられない気持ちだった。あんなに会いたいと願っていたのに、今は彼と会う事が怖くてたまらなか...

  • 12章 Forever and ever -願い-

    着替えるから、と部屋を追い出されたパトリックが外の空気を吸いに外に出ると携帯電話が鳴った。エドだ。 「パトリック?今戻ったから、これから出るよ」 「ああ、わかった。じゃあ病院の前...

  • 11章 So far so close -混乱-

    パトリックは椅子をレイの前に置くとそこに腰掛けた。「ローラ、彼は……、エドは今、ニューヨークにいるんだよ」と話を切り出した。 その言葉に、レイの心臓がどきりと音を立てた。そして、...

  • 11章 So far so close -希望-

    翌日の午後、再びパトリックが病院を訪ねると、担当医が慌てた様子でパトリックを呼び止めた。 「バークレーさんを見ていませんか?」 顔色を変えて聞く彼に、パトリックは不安な表情をしな...

  • 11章 So far so close -覚醒-

    パトリックが病院を尋ねると、レイの担当医が彼を呼び止めた。 「実は昨日の夕方、意識が一旦戻ったんですが……」 その言葉にパトリックは安堵の表情を浮かべて 「目を覚ましたんですか?...

  • 11章 So far so close -蒼い夢-

    レイは深い眠りの中で、ひとり彷徨っていた。まわりは深い霧に包まれ、空気はひんやりと冷たい。 (ここは、どこなの?) 何も見えない霧の中を、何かを探すようにしてレイは歩き続けた。や...

  • 10章 Gisell III -深い眠り-

    ERには、ひっきりなしに救急車がやって来ていた。 「エドに……、電話して来る。こんな事になって、あいつに黙っておくわけにもいかないだろう」 「……そうね」 壁にかかった時計は、午...

  • 10章 Gisell III -静寂-

    タクシーを拾い、行き先を告げると、パトリックは再びレイの携帯に電話をした。が、一向に彼女が出る気配はない。レイのアパートまでの十数分が、2人には恐ろしいくらい長く感じられた。 よ...

  • 10章 Gisell III -フィナーレ-

    ジョージ・スター・バレエ団のパーティーが終ったのは、午後10時を過ぎた頃だった。パトリックは、タクシーでレイをアパートの前まで送った。 「パトリック、ありがとう」 そう言ってレイ...

  • 9章 Gisell II -不安と期待-

    翌日の夕方、エドはパトリックから呼び出され、エンパイア・ステートビルのビアホールにいた。 「すまないね、こんなところに呼び出して」「いや、構わないよ」 パトリックは半分飲みかけの...

  • 9章 Gisell II -痛み-

    殆どの客が客席を立ったころ、ようやくエドも席を立った。 そして、ロビーに出て携帯電話の電源を入れると、それを見計らったように呼び出し音がなった。パトリックだった。 「やあ、どうだ...

  • 9章 Gisell II -愛-

    エドは席に着くと、プログラムを開いた。 ローラ・バークレー、間違いなくその写真はレイだ。まだ少し信じられない気分だったが、ずっと探し続けた彼女がこれからこの舞台で踊るのだと、そう...

  • 9章 Gisell II -蒼のインク-

    エドは、いつもより早めに仕事を終えてオフィスを出ると、花屋に立ち寄り、頼んでおいた花束を受け取ってから劇場へ向かった。ベージュがかった優しい色のバラはレイの好きだった花だ。 劇場...

  • 9章 Gisell II -蒼のインク-

    エドは、いつもより早めに仕事を終えてオフィスを出ると、花屋に立ち寄り、頼んでおいた花束を受け取ってから劇場へ向かった。ベージュがかった優しい色のバラはレイの好きだった花だ。 劇場...

  • 8章 Patlic -プラン-

    パトリックがホテルの部屋に戻ると、アンがシャワーを浴びて出てきたところだった。パトリックは、はぁ~ とため息をつきながら、ソファにドサリと座り込んだ。 「どうしたの?大きなため息...

  • 8章 Patlic -ふたりの男-

    2人はスタジオを出て少し歩くと、こぢんまりとしたバーへ入った。パトリックはビールを2つオーダーし、奥のテーブル席につくと、エドを冷ややかに一瞥した。 「エド、どういうつもりだ?ロ...

  • 8章 Patlic -再会-

    着替えを済ませ、スタジオに入ると十数名のダンサーが思い思いにウォーミングアップをしていた。 (……知った顔は、いないな) パトリックはスタジオの中をぐるりと見回すと、床に座って身...

  • 8章 Patlic -はじまり-

    ニューヨーク公演3日目の夕方、パトリックは仲間のダンサー3人とラナのテラス席にいた。今日は出番もなく代役として控える必要も無い、オフのダンサーたちだ。 「昨日の舞台は大成功だった...

  • 大人のバレエ ちょっとウラ事情 ポアントの方が「偉い」?

    みんなの憧れ(?)トゥシューズ。 ほとんどの人はポアント許可が欲しくて、せっせと上のクラスのレッスンに通い、許可が出た日には「おめでとうー!」と言う感じで大喜びでした。 私は掛け...

  • 7章 Traces -ジゼル-

    11月になって間もなくのことだった。その日、夜10時近くまで仕事をしていたエドがオフィスを出ると、携帯がコールした。ケニーだ。 「おい、今どこだ?」 「オフィスを出たところだよ」...

  • 7章 Traces -希望-

    2人は、その足で数ブロック離れたBDSのスタジオへ向かった。バタバタと2人が入って来ると、受付のアビーが 「あら、お二人さん、忘れ物?」と、明るく声をかけた。 「いや違うよ。ちょ...

  • 7章 Traces -ローラ・バークレー-

    土曜の昼下がり、BDSのクラスを終えたエドとケニーは、いつものようにラナに入った。 「この間の夜、タイムズスクエアの近くで、彼女を見かけた」 エドがバッグを床に置きながら言った。...

  • 6章 Wish I could -ネオンの向こう-

    きらびやかなネオンに照らし出された通りを駅へ向かいながら、サラがぽつりと言った。 「きっと、彼女にとってあなたは永遠の存在だわ」 その言葉にエドは、不思議そうな顔をした。 サラは...

  • 大人のバレエ ちょっとウラ事情「初めての」ポアント

    久しぶりすぎる更新です。6ヶ月以上ぶりです😱 記事を見返したら、ダブって投稿していた記事が!……ごめんなさい、うっかりしていました。 なかなかコンスタントに更新で...

  • 6章 Wish I could -迷える心-

    「エド……?私の顔に、何か……?」サラは、エドの視線に戸惑いながら(なんとなく、マズイ展開だわね)と思った。 「サラ、僕は君を……」エドが迷いながらそう言いかけると、サラは、彼が...

  • 6章 Wish I could -Sara-

    木曜の夜、エドはSTEP IN のクラスを終えてスタジオを出ると、地下鉄の駅へ向かった。 レイの手がかりをつかもうとして通い始めたクラスだったが、もう習慣のようになっていた。最初...

  • 6章 Wish I could -甘い痛み-

    何の消息も掴めないまま、季節は秋になろうとしていた。 エドは客先からオフィスに戻ると、パソコンの電源を入れ、カバンの中の資料をデスクの上にどさりと置いた。数件のメールを確認して、...

  • 大人のバレエ ちょっとウラ事情「再開組」

    バーを運ぶタイミングは先頭を避けて 仕方なく通い始めた「初級クラス」は、 ものすごーく憂鬱でした。まず、バーもセンターも長くてややこしい……。覚えてしまえばどうって事のない組み合...

  • 大人のバレエ ちょっとウラ事情「人間関係」

    仕方なく通い始めた「初級クラス」は、 ものすごーく憂鬱でした。まず、バーが長くてややこしい……。覚えてしまえばどうって事のない組み合わせなのですが、忘れちゃうんですよねぇ……&#...

  • 5章 Giselle I -願い-

    パトリックが着替えを終えてロッカールームから出てくると、スタジオの扉をノックする音が聞こえた。扉を開けて入ってきたのは彼の妻、アンだった。 「やあ、アン」「もう、レッスンは終わっ...

  • 5章 Giselle I -告白-

    レイの話を聞き終わると、パトリックは少し戸惑った表情をしたまま黙り込んだ。何と言葉をかけたらいいのか分からなかった。 レイは、そんなパトリックの表情を見ると、困ったように口の端だ...

  • 5章 Giselle I -手放した恋-

    レイは、何度もジゼルを踊るなかで、次第に心の奥からこみ上げる切なさを押し殺すことが出来なくなっていた。 その日、1幕のバリエーションを踊っていると、パトリックが途中で音楽を止めた...

  • 5章 Giselle I -ジゼルの恋-

    週末になると、パトリックはレイとのリハーサルのためニューヨークまでやってきた。 スタジオに入るとパトリックはジゼルの音楽を流しながら「ローラ、君はジゼルをどう踊りたい?」と聞いた...

  • 5章 Giselle I -はじまり-

    レッスンが終る頃、芸術監督のカーティスが稽古場のドアを開けて入ってきた。彼は稽古場の中にレイの姿を見つけると、笑顔を浮かべながら「君がローラだね。何度か君の踊りは観た事あるよ。よ...

  • 5章 Giselle I -シカゴ-

    8月の初旬、レイはジョージ・スター・バレエ団の本拠地があるシカゴへ向かった。 団員たちとの顔合わせのためだったが、レイは少し気が重かった。いきなり、主役を踊ることになった自分を皆...

  • 大人のバレエ ちょっとウラ事情「入門クラス」

    長らく更新をサボっていました😅 コロナ以降、せっかく再開したバレエも再びお休み中……。 ……というか、小さなカルチャースクールだったので無くなっちゃったのです&#...

  • 4章 Dancer -戻る場所-

    木曜の午後、パトリックに連れられて行った貸しスタジオは、まだ新しく、とても綺麗で広いスタジオだった。レイが時々借りる古い小さな貸しスタジオとは大違いだ。 「すごくいい床だわ。天井...

  • 4章 Dancer -Patlic-

    スタジオを出ると、レイは少し曇った空を見上げた。 (……舞台に戻ることができれば、私は彼を思い出さずに生きられるかもしれない。この辛い気持ちから解放されるかもしれない) ふとそう...

  • 4章 Dancer -懐かしい空気-

    月曜の午前、レイは久しぶりにSTEP IN のクラスに向かった。それは、ABTにいた頃から時々受けていたクラスで、参加しているメンバーの殆どがプロのダンサーだ。昔の仲間に会うかも...

  • 3章 Broadway -面影-

    12時を少し過ぎた頃、サラはTシャツとスウェットパンツに着替えると、水の入ったペットボトルとバッグを持ってBDSロッカールームを出た。ジャズダンスのクラスを受けるためだ。軽快な音...

  • 3章 Broadway -エレメンタリークラス-

    エドがニューヨークに来て数ヶ月が過ぎようとしていた。よく晴れた土曜の朝、エドはいつも通りBDSのスタジオへ向かった。朝10時からのクラスを受けるためだ。STEP IN のクラスで...

  • 2章 NewYork II -Kenny-

    その日エドが向かったのは、タイムズスクエアから少し歩いたところにあるSTEP INだった。そこは、時々ABTやNYCBのダンサーがクラスを受けに来るので有名だった。 殆どのダンス...

  • 2章 NewYork II -Sara-

    水曜の朝、エドがオフィスで資料をまとめていると、マークスが秘書のサラを連れてやってきた。 「エド、紹介するよ。君のアシスタントのサラだ」「サラ•ニコルソンです。一緒にお仕事できて...

  • 2章 NewYork II -Edword-

    ミッドタウンにあるマークスのオフィスでは、5名のコンサルタントを始め、全部で14名のスタッフが働いていた。 スタッフの人数に対して広すぎるくらいのオフィスは、白を基調にダークブラ...

  • 1章 NewYork I -愛の影-

    夕方からのクラスを2つ教えてスタジオを出ると、11時近くになっていた。BDSからレイの住む部屋までは歩いて十数分程だ。レイは部屋に戻ると上着を脱ぎ、それを無造作にベッドの上に置い...

  • NewYork I -Laura-

    「ローラ、おつかれさま。6時からBDSのクラスでしょ?もう上がっていいわよ。」 店の奥で商品の数をチェックしていると、同じ職場のジョディが声をかけた。 レイは週に3日、ブロードウ...

  • 大人から始めるバレエ ストレッチは怠るべからず

    私は、もともと体が柔らかいほうではありませんでした。むしろ硬いほうで、とくにハムストリングが硬く前屈が苦手でした。もちろん、開脚など出来るはずもなく45度開くのが精一杯でした&#...

  • 17章 約束2 -ニューヨーク-

    エドは、プリントアウトした資料とプレゼンテーション用のスライドデータの入ったメモリスティックをカバンに入れると、オフィスを出た。 レイを失った痛みをかき消すには、忙しく仕事をする...

  • 17章 約束1 -痛み-

    「エドの様子はどうなの?」千夏がコーヒーカップを置きながら聞いた。「恐ろしいくらい仕事してるわよ。相当まいってるわね、あれは」ジェイがため息交じりに答えた。 秋晴れの、とても天気...

  • 16章 夢のあと5 -冷たい雨-

    雨が強くなってきたのか、雨水がぽたぽたと流れる音と、時折通る車が雨水を跳ね上げる音が、静かな店内に聞こえてくる。彼女を初めて抱きしめたのも、こんな雨の夜だった、とエドは思った。 ...

  • 16章 夢のあと4 -悔恨-

    店内には、壁の時計が時間を刻むかすかな音と、時折コーヒーメーカーが発する蒸気の音がするだけだった。エドは長い間、息も出来ず呆然としていたが、やがて両手で顔を覆うと「幸せになんて…...

  • 16章 夢のあと3 -悲嘆-

    アトリエの駐車場に到着すると、ジェイはエドの肩を軽く揺らせた。「エド、起きて」「ああ……、すまない。眠ってしまって……」「いいのよ。それより、あなたに話しておきたいことがあるから...

  • 16章 夢のあと2 -ジェイ-

    レイがニューヨークへ発った翌日、ジェイは再び空港へ向かった。エドが日本へ戻る日だった。 午後5時を過ぎた頃、到着ロビーにエドの姿を見つけると、ジェイは小さく手を振った。それに気付...

  • 16章 夢のあと1 -浅い春-

    4月の終わりの空は、柔らかな光りに輝き、春とは思えないほど澄んでいた。レイは部屋のカーテンを閉めると、スーツケースを玄関の外に出し、部屋の中へ向き直った。 ゆっくりと部屋を見渡し...

  • 15章 微熱 6 -去りゆくもの-

    病院の待合室で、レイの処置が終わるのを待ちながらアーロンが不安げに聞いた。 「ジェイ、レイは……」 「……あの子、お腹に子供がいたんだわ」まるで独り言のようにジェイが言った。 「...

  • 15章 微熱 5 -悲しみ-

    「……今、何て言ったの?」 レイは、ジェイを見据えると、ゆっくりと静かに「もう、彼とは会わない、って言ったの」と答えた。 ジェイは、レイの言葉を疑うように 「どういう、こと?」と...

  • 15章 微熱 4 -決意-

    1日をぼんやりと過ごしたレイは、午後7時を過ぎた頃、部屋を出た。4月とは名ばかりで、まだ外の空気は冷たく、レイは小さく身体を震わせると、ニットの帽子を耳のところまでぐっと下げた。...

  • 大人から始めるバレエ 初めての発表会

    バレエを習うからには、きれいな衣装を着て発表会に出たい!と思う人も多くいるのではないでしょうか?発表会という目標があると、レッスンを続けるモチベーションにもなります。 私が初めて...

  • 15章 微熱 3 -クリスティ-

    次の週末、エドはアメリカに発つことになっていた。レイもそれまで取っていなかった休暇をとり、彼より1週間遅れてアメリカへ行くことを決めていた。 クリスティからの電話は、ここ数週間ぴ...

  • 15章 微熱 2 -秘密-

    その日の夜、部屋に戻ったレイは、まだ体にだるさが残っているような気がして、ソファで横になっていた。リビングボードに置かれた時計は、午後8時ちょうどを指している。 エドが戻るのは、...

  • 15章 微熱 1 -心の影-

    夕方のクラスを終えたレイが、少し疲れた表情でオフィスに戻って来た。 「レイ、大丈夫?なんだか疲れた顔をしているわよ」心配そうに千夏が聞いた。「ええ、大丈夫。ちょっと風邪気味なのよ...

  • 14章 冬空 4 -選択の時-

    ジェイは、やれやれと一息つくと 「あなたがクリスティを傷つけまいとすればする程、レイが傷つくって言うのは間違っていないわ。ねえ、エド、あなたにとって一番大切なのは何か、よく考えて...

  • 14章 冬空 3 -怒りと悲しみ-

    「やあ、ジェイ。しばらく」エドは上着を脱ぐと、ジェイのすぐ前、千夏とひとつ間を空けたスツールに腰掛けた。 「……随分、お疲れみたいね」ジェイがそう言いながら、彼の前にグラスを置い...

  • 14章 冬空 2 -驚き-

    「また、レイがスタジオに篭っているのよね」千夏が心配そうにため息をついて言った。「……エドと何かあったの?」「彼と喧嘩したくらいなら、スタジオに篭ったりしないわよ。話はもっとやや...

  • 14章 冬空 1 -突然の訪問者-

    年も明けた早々、レイの担当するクラスに初めて見かける外国人女性が混じっていた。外国人がクラスにいることは珍しいことではなかったが、中級レベルのクラスを受けるには、まだ訓練が足りな...

  • 大人から始めるバレエ トゥシューズっていつから履けるの?

    サテンが美しい淡いピンクのトゥシューズに憧れてバレエを始める人も多いバレエ。けれど、バレエを初めて最初に履くのはトゥシューズではなくバレエシューズです。では、いつになったらトゥシ...

  • 13章 Christy 3 -願い-

    エドが部屋に戻ると、玄関にレイの靴がきちんと揃えて置かれていた。 「レイ、来ているのか?」 エドが部屋の奥に呼びかけると、レイがリビングの扉を開けて顔を出した。 「おかえりなさい...

  • 13章 Christy 2 -暗雲-

    「レイ、あなたによ」 千夏が、電話を保留にしながら言った。「私に?誰から?」不思議そうにレイが聞いた。 外線でレイ宛に電話が掛かって来るなど、殆どないからだ。 「名前を聞いたんだ...

  • 13章 Christe -婚約者-

    午後6時半を少し過ぎた頃、KINGSの扉が開いた。「あらエド、珍しいわね。こんな早い時間に来るなんて」ジェイが、氷を削る手を止めて言った。「出張明けくらいはね」エドは、上着を脱い...

  • 12章 冬の気配5 -大切なもの-

    「大切なものは、何があっても決して手放してはいけないわ」 エドはメアリーの言葉に、はっと我に返って顔を上げた。メアリーは庭のずっと先を眺めたまま、呟くように、ぽつりと「……ルイー...

  • 12章 冬の気配4 -クリスティ-

    どうやって知ったのか、ロンドンに滞在している事を知った父親から連絡があり、渋々ロンドン郊外の家に戻ると、父と継母のアメリア、そしてクリスティ・リングトンが彼を迎えた。 10歳近く...

  • 12章 冬の気配3 -ルイーズ・バークスフォード-

    エドはその日の午後、ロンドンでの最後の仕事を終えると、ジュエリーデザイナーである知人のアトリエへ向かった。彼のデザインしたネックレスはレイのお気に入りで、彼女のためにデザインされ...

  • 12章 冬の気配2 -夢-

    確かに、バークスフォード家がレイの存在を知っているのか、またその存在を認めているのかも分からない。エドの話では、ルイーズに娘がいたと言う事実は知られていない。レイの言う通り、彼女...

  • 12章 冬の気配1 -過去の影-

    「早いわね、あなたが日本に来てもうすぐ3年近く経つなんて」ジェイがしみじみと言った。 日曜の午後、レイは、ジェイと彼のアトリエの一角にいた。ロールスクリーンを開けた大きな窓からは...

  • 大人から始めるバレエ どうする?レッスンウェア

    バレエを始めて、やっぱり気になるのはレッスンウェアではないでしょうか?最初はレオタードを着る勇気が出ない、と言うのが大人からバレエを始めた人の大多数ではないかと思います。 教室に...

  • 11章 ノエル 5 -煌めきの向こう-

    乾杯が終わると、皆、思い思いに談笑したり用意された料理や飲み物を楽しみ始めた。レイとエドもツリーの下に包みを置くと、皆と楽しげに話しをしたりしている。普段とは違ってフォーマルな雰...

  • 11章 ノエル 4 -招かれざる客-

    招待客の殆どがそろった頃、アトリエから店へ降りてきたジェイが「レイ、エドは?」と聞いた。「ぎりぎり間に合うって言っていたから、そろそろ来るんじゃないかしら?遅れるなら連絡があるは...

  • 11章 ノエル 3 -KINGS-

    「今日は、午後のレッスンで終わりね」「そうね。終ったら、さっさと片付けて店に行かなくちゃ」カフェで昼食を済ませたレイと千夏が、今夜のパーティーについて話しながら、オフィスに戻って...

  • 11章 ノエル 2 -アドベント-

    3時を少し過ぎた頃、千夏が息を切らせながらカフェに入ってきた。 「ゴメン、ゴメン。ちょっと出遅れちゃって」そう言って席に座ると、やって来たウェイターにカプチーノを注文した。 「で...

  • 11章 ノエル 1 -心の陰-

    11月も半ば、色づいた街路樹の殆どは舞い落ち、秋も終わり冬がそこまでやって来ていることを告げていた。土曜の午後、レイはジェイと2人、カフェの窓際に座っていた。 「へえ、そんなこと...

  • 10章 安紗美 4 -嫉妬-

    エドは、マンションのエントランスまで来ると、鍵を使わずに部屋の番号を押した。「レイ、戻ったよ」『お帰りなさい。今、開けるわ』インターホン越しにレイの声が答えた。間もなく、入り口の...

  • 10章 安紗美 3 -困惑-

    あの日以来、レイは度々安紗美の視線を感じる事になった。金曜の夜、レッスンを終えたレイが帰り支度をしながら「もう、困るのよね、本当に」とため息まじりに言った。「立川のこと?」「そう...

  • 10章 安紗美 2 -アプローチ-

    翌日、近くのカフェで昼食を終えたレイと千夏が会社に戻ると、エントランスに安紗美の姿があった。 安紗美はレイに近づくと、いきなり「嶋田さんと付き合ってるって、本当なんですか?」と聞...

  • 10章 安紗美 1 -噂-

    開発部オフィスの3階は、半分が社員達のためのリラックスコーナーになっていた。ウォーターサーバーやコーヒーなどが常備されたそこは、窓際がカウンターになっており、フロアにはいくつかの...

  • 大人から始めるバレエ バレエシューズは試着してから

    バレエを始めるときに必要になる物のうち、最初に用意したいのがバレエシューズです。「バレエと言えばトゥシューズ」というイメージがあるかもしれませんが、トゥシューズは初心者の間は履く...

  • 9章 秋雨 6 -ジェイ-

    キッチンでコーヒーを入れていると、不意にレイの携帯が鳴った。日曜の朝から誰だろう?と思い、着信を見ると画面にはジェイの名前が表示されている。レイは少し迷ったあと、留守番電話に転送...

  • 9章 秋雨 5 -告白-

    レイの部屋は広いワンルームで、ダークブラウンのフローリングと同じ色の腰板がついた白い壁には、アンティーク調の間接照明が取り付けられていた。ベッドルームとは天井までのシェルフで仕切...

  • 9章 秋雨 4 -ふたり-

    エドがレイの頬にそっと触れると、レイは、戸惑った表情のまま彼を見た。レイには、自分の置かれている状況が、まだよく理解できなかった。 「私は夢を見ているの?」心の中でそう思った。 ...

  • 9章 秋雨 3 -切ない香り-

    店を出て帰途についたのは12時近くで、そろそろ終電という時間になってからだった。 2人とも、外苑前から歩いて10分とかからない所に住んでいたが、それぞれの住まいは、駅を挟んでちょ...

  • 9章 秋雨 2 -ミュージカル-

    約束の日、レイは仕事が終わると一度部屋に戻り、淡いグレーの柔らかなタートルネックのニットを着て、深いブルーのデニムを穿くと、バロックパールのロングネックレスを着け、フワフワとした...

  • 9章 秋雨 1 -心の中の雲-

    「昨日、ミュージカルに誘われたわ。嶋田さんに」 金曜の夜、店にやってきたレイは、カウンター席に着くと、まるで業務報告をするようにジェイに言った。「まあ!そりゃ、よかったじゃない!...

  • 8章 夏の終わり3 -エド-

    木曜のお昼を少し回った頃、レイが受付で名簿のチェックをしていると、コンコンとガラス扉を叩く音がした。顔を上げると、そこには嶋田の姿があった。心臓がどきりと音を立てたのが自分でも分...

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