春の訪れ

春の訪れ

そうだ、株を買おう。 僕が初めてそう思ったのは、今からちょうど2年前、僕が人生で3度目のディズニーランド訪問を果たした年の春のことだった。 完璧なまでの幻想に象られた、小ぎれいなネズミたち、おとぎ話の王女、チップとデール…彼らが招き入れた夢の国の熱気にすっかり当てられた僕の懐に、その時突然、投資の女神が舞い降りたのだった。そして、その思念は、まるで啓示のようにまっすぐに、僕の額の奥にある前頭葉のさらに奥、海馬傍回に突き刺さった。 そうだ、株を買おう。 うららかな春、とは言い難い、汗ばむような日差しのもとで、僕は人生で初めて、はっきりと、そう思った。 目的?そんなこと、あとから考えたらいいじゃな…