サドをめぐる断想(10)
簡単に言うと、苦痛とは我々にとって異質な対象と我々の身体の組織を構成している分子との極く僅かな関係の相違によって生じるのです。どういうことかと言うと、異質の対象から発出する分子が我々の神経の中を流れている体液と接触するとき、うまく結合すると、その衝撃が快感として受け止められるのですが、両者が接触する際に拒絶反応を起こすと、不快、苦痛として感じられるのです。しかし、接触の結果が快であっても不快であっても、結果は結果であり、神経体液に対して或る衝撃が生ずるのは間違いないのです。(中略)単純な感覚から生まれる快楽に飽き飽きしている私達は、強力な感覚でありさえすればそれを快楽と感じるように慣れてしまっ…
2019/05/29 15:45