知らんジジイ

知らんジジイ

中3の修学旅行の夜。今から30年前の話である。 関東地方の片田舎に住んでいたわたしたちの学校は、日光方面を巡ってから近隣のホテルに泊まるという、極めてオーソドックスなコースをまわり、夕飯と風呂の後、少しの自由時間を楽しむべく仲の良い友達数人とロビーで駄弁っていた。 あまりはっきりは思い出せないが、ロビーにいた同級生はそんなに多くはなく、ヤンキー系の派手な奴らは多分部屋であーだこーだしてたのだろう、割と大人しめの女子ばかりだった気がする。 ロビーのソファに座り喋っていた私たち(多分3人だったと思うのだけど)に不意に近づく人物がいた。 それは浴衣を着た風呂上がりと思しき知らんジジイであった。 知ら…