ミン・ジン・リー著『パチンコ』
英語圏でベストセラーになっているミン・ジン・リー著『パチンコ』が翻訳されたので早速購入。上下2巻で700ページを超える大著だけど、一気に読んでしまった。在日コリアン4世代の壮大な年代記。大日本帝国統治下の朝鮮半島での困難な生活、日本での貧困、戦時下の官憲による投獄と拷問、被爆、戦後も続く偏見と差別、自殺。破滅する人々とすべてを乗り越えて人生を切り開く人々を描く。いつのまにか、懸命に生きる登場人物たちに心のなかで声援を送りながら読み進めていた。興味深いプロットの背景には、隠されたテーマがある。それは在日コリアンの問題のもつ普遍性だ。本書の中で、大学の教室でジョージ・エリオットの小説を通してイギリスにおけるユダヤ人問題を取り上げて議論している場面がある。人種のマイノリティ問題としての普遍性を示唆しているところだ。も...ミン・ジン・リー著『パチンコ』
2020/10/15 08:07