師を襲う
武道の世界では師を襲った者が正統である。すなわち、館名、武号など、ずらずらと証拠が並ぶ。わけても、業前はその道場の館風が色濃く反映する。ところが、そういうことも知ってか知らずか、各連盟単位で時の権力になびき、まともな居合者からはじき出される方もある。どこまで行っても、「師匠は誰、その師匠は誰」というのがこの世界の「貫目」であろう。だから、師匠をおろそかにして、道場をやめたり、または自分で派閥を作ったり、新しい流派を名乗っても、所詮は甲斐なきこととなりはてる。それは、古流を標榜しても伝統に恭順していないという、自己矛盾だからだ。師をないがしろにして、偉い人にすり寄り「出世(笑)」したからと言って、弟子たちがみんな去っては元も子もない。人の世の「あはれ」が身にしむ今夜である。師を襲う
2019/05/31 21:40