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秋晴れ。帰りに見た雲の流れが早かった。いろいろな形の雲がどんどん流れていく。ひとつに目を止めて連想ゲームをする。砂時計が、火にくべられて燃え踊る人影、メビウスの輪、ドラゴンが絡みついた剣のキーホルダーと変化する。あれはなにかを手繰り寄せる手、なにかを乞う手、柔らかいさざなみ、山の峰。リスカ痕、ハンバーグの焦げ目、飛んでいく無数の戦闘機。どうして紙に広がるインクの染みに、インクの染み以上のなにかを連想するんだろうな。カギ十字はただのカギ十字。座っている女の子はただの座っている女の子。女の乳房はただの女の乳房。それ以上でもそれ以下でもないのに。でもそうはいかないらしい。シンボル。アイコン。記号。言…
2019/10/31 00:47