不条理な惨事が身近に起きた際の世界把握の変容について
件の病院への放火事件の影響で文章が全く書けない時期が続いた。理由の中心を占めたのは公正世界仮説の崩壊である。 公正世界仮説とは概ね「善行や努力は幸福により報われ、悪行や怠惰は不幸により罰せられる、世界は正しく因果応報で回っている」という信念だと理解している。このような世界把握には、弱者の苦境や差別の問題を自己責任に回収してしまう危険がつきまとう。つまりこの言葉は多数派の持つそうしたバイアスを少数派が批判的に形容するためにある。従って肯定的な概念として語られることは普通は有り得ず、少なくとも重度障害を持つ私がそんな信念を内面化しているとは全く思っていなかった。 しかし身近に起きた悪夢のような事件…
2022/03/28 06:00