「8,167 kmの距離を描く幻のイーゼル」
2年前の丁度今頃。 とある若い女性の油絵を描いた。 彼女は大学の講師。 父親とは死別し、同じく大学の講師だった母親と二人暮らし。 そして、猫一匹がその中にいた。 文章では「とある」と書き出したが、油彩では「えにし」を感じて描いた。 私は事業と共に家庭に失敗し、妻と娘を失っていた。 やり直したくても元に戻らぬ人生。 心の隙間を埋めようと互いに求め合った。 彼女は、ウクライナの武士ともいうべきコサックの子孫。 ロシア側の砲火と職場のストレスに晒されながらバスで通勤していた。 戦況はニュースより彼女のLINEの方が詳しかった。 世界情勢の把握など、利害関係が無ければこんなレベルなのかもしれないと感じ…
2019/01/16 01:08