悪くない日の夜の気分
風呂上りに自室へ戻るマガルの足取りは、いつもよりも軽やかで弾むように歩いていた。 いつもより少しだけ鼻の穴が広がり、意気揚々としている。 何か特別な良いことがあったというよりは、何も悪いことがなかったという言葉が一番ピッタリくる表現だと思う。 今日は今年初めて一度も仕事をしなかった日で、読みたかった本をたくさん読めた日で、好きな友達とごはんに行けた日で、一般的に見れば普通なのかもしれないけど、小さな幸せの一つ一つをマガルは噛み締めていた。 コップにビールを注ぎながらその音を楽しむ。 コッコッコッと小気味いい音を立ててコップに金色が満たされていく。 コップの中で液体は金色と白色の二層に分かれてい…
2021/01/31 23:09