楽園
満天の星空さえ煙る蒸し暑い夜に、彼は 表現できることがらについて 考えを巡らしている 匣の中に手を突っ込めば 彼方にいる誰かの滑りある手が握り返してくる 冷たい心は誰もがその胸にきちんと所有しており 民族問題を国境線で問いただす時 どれだけ相応しい立場をとろうとも 自らの増悪を浮かび上がらせることにしかならない 下卑た自由の斧を振りかざし、弱き意志を挫く 結局の所 起きる略奪は悲しみまで焼き払い 陣痛促進剤を打たれて 何も感じられない子供を次々に産む 「足りない、足りない、暴力が足りない」と はっきりとした産声を上げながら 乳房を吸い潰す 爆撃と言う手段で浄化はできない かつてふたつのキノコ雲…
2024/07/17 15:14