前進、もしくは後退に値するもの・2
そうして、春が来た現在も私たちは距離を置きながら形式上は付き合っていたけれど翔に携帯電話へ電話してもメールを送っても返事が返ってくることは一切なかった好きな子と逢っているのかもそう考えると無性に泣けてきて私は距離を置くとうことは二人の仲を修復するためのものなんかではなく別れの準備をする期間だと実感していたそう考えるとおり返事のないメールや電話が繰り返されるとそれが当たり前のようにすら感じ段々と泣くことがなくなったがそれは翔に対する愛情が薄れたためだとは思いたくなかった私たちの間にはまだ細く細い糸が張り詰められていてまだ切れてなどなくどこかで繋がっているからやがて、桜が満開になり私はひとりで近所の桜並木を歩きながら翔と出会った日のことを思い出す私たちの出会いは今でも不思議でならないその頃、別々の恋人がいて夏の花火...前進、もしくは後退に値するもの・2
2018/05/14 13:38