酒と本と友情、そして少しの恋
「そう。毎晩毎晩、明け方まで飲み歩いてる酔っぱらいはみんな病気。寂しい病。息子もそうでしょう?家にひとりでいても寂しいから、用もないのに飲みに出かける。違う?」 ---(略)--- 「病気じゃない人は、ちゃんと終電で家に帰るのよ」 佳子さんはぼくを見て微笑んだ。 月に1日か2日ほどゴールデン街へ「通って」いたことがある。金曜の仕事終わりに新宿駅で降り、足早にアルタ前を通り過ぎて見慣れたドーナッツ屋のすぐ脇、魔界の入口を潜り抜ければそこは大人のわくわくワンダーランド。(?) あの頃、金曜の夜というのは何故か、時間を歪ませる気がしていた。終電と言う概念なぞどうでもいいと言わんばかりに、わたしは朝日…
2023/10/21 19:28