あとがき
戦死せし 五来川上斎藤よ わが青春の 糧たりし友よ この詩集を思い立ったとき、敗戦まえに詠んだ作品は全部除くつもりで読み直してみると、そこには、かつての私にだけあって今の私にはないものがあると、改めて思い知らされた。今の私にないのは自ら捨てたためといってもいいが、詠まれた世界は私自身の歴史だから、敢てこれらも加えることにしたのである。 昭和戦争時代のこれらの詩や短歌は、ひどく粗雑でありまた稚拙であって、かつ冗長である。更に「神」という文字が何度も出てくる、というように言葉遣いが安易であり、今の私にはかなり抵抗ある作品が多い。それにも拘わらず、詩情があると思う。 当時の私をいまは他人のように眺め…
2018/02/23 18:44