加計学園を巡る一連の疑惑報道で、度々に耳に入る「行政が歪められた」という言葉について見解を述べたい。この問題の本質は、特区申請の認可において首相が自分の友人である事を理由に、加計学園を優遇したのか否かという一点に尽きる。言い換えれば、特区が認定される判断基準に首相との距離が考慮されるか否かということだ。 先の記事で述べたことだが、今治市に獣医学部が必要かどうかはこの際どうでもいいのだ。仮に加計氏が首相に批判的な人物で、特区申請が認められていなかったとしたら、今とは逆の展開でやはり疑惑になっていた。もちろん、獣医学部を新設しても獣医師が犬猫病院ばかりに集まれば結局、公務員獣医師の人手不足は解消さ…
ことしの政治ネタで特に報道量が多いのが、いわゆるモリカケ問題だろう。初期報道から半年以上の時間が過ぎ、その間もメディアや野党が徹底して調査したであろうが、現在まで決定的な贈収賄などの物証は何一つ挙がっていない。もちろん安倍首相に隙があったのは事実ではあるが、これが総選挙での投票行動に大きく影響しなかったという事が、今回の衆議院選挙での自民党の勝因のひとつだ。 選挙間近になってメディアの政治評論家やコメンテーターの発言にあるひとつの変化がうまれた。「説明責任とは、国民が納得しないと果たした事にならない」との論調だ。なるほど、と納得してしまいそうな表現だが、よく考えると無茶苦茶である。納得しないと…
人はここまで醜悪になれるのか。 今回の衆議院選挙における民進党の一連の混乱とその後の紛糾を見るにあたり、おそらく多くの有権者が抱く感想であろう。極限の事態に個人の本質が露になる。いま彼らには有権者にどう見られているかを意識する余裕もないのだろう。一度は政権与党となった野党第一党の悲しすぎる現実は、そのまま日本の民主主義のレベルでもある。 今日の自民党政権を支えるのは、野党時代の反省に他ならない。無論、安倍政権の施政が長期化するにつれ驕りや緩みが散見されるのも事実だ。そうしたときに与党に緊張感を与え、有権者に政権の受け皿を示すのが野党第一党の意義であり責任である。モリカケ追求により安倍政権の支持…
希望の党は衆議院戦後の両院議員懇談会と総会において、共同代表のあり方や特別国会での首班指名の方針など、当面の道筋はつけたようだ。小池都知事の代表辞任が回避されたのは朗報だろう。だが影響力の低下は避けられない。党内では早くも結党の理念の根幹であった「リアルな外交安保政策路線」に疑義を唱える声が支配的との報道もある。オリジナルメンバーの中心人物であった細野氏や長島氏、若狭氏の心中を思うと察するに余りある。 しかしながら、彼らが当初想定したであろう保守新党と、それをリセットして小池氏が華々しく立ち上げた希望の党は似て非なるものだ。若狭氏の「今回政権交代が出来ないなら小池都知事は出馬しなくてもいい」発…
躍進した立憲民主党の枝野氏の最近の発言には興味深いものがいくつかあるが、なかでも「永田町の数合わせにはコミットしない」そして「30年前なら私は自民党宏池会」という二つに注目したい。 僕の枝野氏に対する評価は非常に高い。もし彼がそのキャリアを日本新党ではなく自民党宏池会でスタートさせていたら、間違いなく有力な総裁候補になっていたはずだ。押すべきポイントと引くべきポイントを弁えた優秀な政策家であり、本質はレフトリアリストであろう。 枝野氏にとって立憲民主党の設立は、やむにやまれぬ事態だった。また小池氏にとって排除リストに彼や野田前総理の名を入れたことは痛恨の失策だ。ボーダーは左右ではなく、リアリス…
衆院選は自民の圧勝で終わったが、実は野党も元民進党という枠組みで云えば議席は僅かだが伸びている。減らしたのは共産・公明・維新だ。共産が減ったのは政権批判票の受け皿として、より手ごろな立憲民主党が現れたことによる。公明は先の都議会議員選で都民ファーストと連携した見返りで希望が小選挙区での候補を取り下げ、逆に野党が統一されるという皮肉な結果を産んだ。また、自民vs野党乱立のなかで埋没したことも影響した。そしてもうひとつ埋没した野党が、維新だ。 維新は今回、与党が過半数を割ればキャスティングボートを握る可能性すらあった。政策の相性で言えば希望との選挙協力は必然だ。しかしどこから現れたのか愛知県も含め…
衆院選の結果を受け、野党の共闘が全選挙区でなされていたらもっと議席は接戦だったとの新聞各紙の記事を見る。しかし、実際には野党共闘は崩れた。野党にもそれぞれ事情があるから割れたのだ。 共産党は特異な政党だ。各選挙区に20,000票ともいわれる固定票と、それ以上のアンチをもつ。全選挙区に候補を出し、比例票を積み上げ少数だが確実な議席を確保する、いうなれば孤高の野党だった。方針が変わったのは2016年4月の北海道5区の補選だ。町村議員の死去に伴うこの補選で、町村氏の娘婿を後一歩まで追い詰めた池田真紀氏が、史上初の野党統一候補だった。これをきっかけに民進党の当時の岡田代表は野党共闘に舵を切った。これ以…
民進党の分裂、希望の惨敗、立憲民主の躍進、そして最終的には自民の圧勝。この結果から我々有権者は、何を読み解くべきなのか。 僕の考えでは、そもそも日本における保守とリベラルの対立は、例えば「大きな政府」の是非であるとか、「富の再配分の手段」ではなく、突き詰めれば外交安保政策へのスタンスに集約される。そして、その場面での対立軸は保守とリベラルではなく、リアリストとドリーマーだ。 リアリストの安保基本方針は日米同盟で、ドリーマーは世界平和だ。ドリーマーの外交基本方針は「話せばわかる」で、リアリストは「話してもわからない相手はいる」だ。自民党はリアリスト集団であり、自民党にも左派はいるが、それはアジア…
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