小説『雪花』第八章-6節
六店員がお酒の摘みを持ってきた。萝(ロー)卜(ボ)頭(トオ)と枝豆の炒めものだった。大根の漬物の萝卜頭は、黄味を帯びた半透明の琥珀色で、小さく丸い形にしてある。生産地は、蘇州から三十キロほど離れた六(ロウ)直(チー)の故鎮だ。六直の豊かな河流に囲また土で栽培収穫された萝卜頭は、肉よりも貴重な食べ物と言われた。仁は、興味の眼差しに笑みを浮かべて、伝えた。「これは、六(ロウ)直(チー)の萝(ロー)卜(ボ)頭(トオ)だね。祖父の家で、食べたことがある」仁の言葉を聴いた凡雪は、ふと脳裏に、楚と杜の姿が懐かしく過(よ)ぎった。そこで、夢を見るような想像をし始めた……。六(ロウ)直(チー)に行って萝(ロー)卜(ボ)頭(トオ)を買ってきた楚は、祖父の厨房に入った。小椅子に座った杜は、竈(かまど)に薪を入れた。パチパチと小さく...小説『雪花』第八章-6節
2017/10/20 10:36