山本作兵衛『画文集 炭鉱に生きる(地の底の人生記録)』(講談社)

山本作兵衛『画文集 炭鉱に生きる(地の底の人生記録)』(講談社)

ちょっと似非文学風にいうなら、頃日、気鬱の虫がやおら集きはじめている。 フランク永井を聴いているときも憂うつだし、モーツァルトの弦楽四重奏曲を流しているときも憂うつ、何か書いているときも憂うつ、ヒカキンとかその他雑多の底辺YouTuberたちを見てケラケラ笑っているときも憂うつだし、『百年の孤独』を読み直しているときも憂うつだし、バッティング練習をしていても憂うつだし、羽生結弦に見惚れているときも憂うつ、同志と形而上的激論を交わしているときも憂うつ、無銭旅行をしているときも憂うつ、アパート裏で勝手に摘んだ柿をかじってみてやたら渋かったときも憂うつだったし、大量のパンと野菜を土産にもらったときも…