『蒙求』仁君の条件
当意即妙の受け応えが素晴らしい話である。 魏の文侯が家臣たちと歓談していた時、 「ところで、私は君主としてどうだろう?」 と尋ねた。 あまり良い質問とはいえない。 真の明君ならこんなことは訊ねないだろう。 家臣たちは、本心は別として、次々と、 「君は仁君です」 と答えた。 ところが、翟璜(てきおう)という家臣だけは、 「君は仁君ではありません。中山の国を征服した時、君は弟君にそれを与えず、ご自身の長子に与えました。これからしても、君は仁君ではないでしょう」 と、思ったことを率直に口に出してしまった。 当然、文侯は怒り、翟璜を追い出してしまった。 次に、任座(にんざ)という家臣が答える順番となっ…
2018/01/31 08:26