偽る心
旧約聖書で、波の預言者と言われたエレミヤは、「心はよろずのものよりよりも偽るもので、はなはだしく悪に染まっている」と言った。それは、自分に対して虚偽の心を向ける特定の誰かを指して言っているのではない。自分自身の心もまた、そうなのだ。夏目漱石もまた、小説の「こころ」でそれを喚起している。一人の人へ思いは、他の一人を死に至らせるほど苦しめ、自分の人生を蝕む。このどうしょうもない「こころ」。全世界の人が、得体の知れないこの「こころ」を抱える。私自身はどうか?と、言えば、これが、「私は大丈夫」と、結構楽天的なのだ。そんな自分を解釈するならば、「わたしの心に偽りはなく、真実。けれど、あなたの心は時々偽る。でも、私は寛容な人だから、あなたの偽りの心はおおめに見てあげる」と、幾分、他者を貶めて、自分自身は良い人に祭り上げてい...偽る心
2020/06/29 03:42