アフォリズム

アフォリズム

【父親が多すぎる】 普通息子は一人の父親をもつ。たいていは、その一人を殺せば満足するのである。けれども彼は業が深くて、もしくは自身を見積もりすぎているために、いくら殺しても殺してもあきたりないのだ。彼には父親が多すぎる。 【確かに非常識】 彼女は個性的だと皆から思われていた。それだけに「あなたは案外普通ですね」と誰かから言われると物足りなく思った。彼女は年増になっても「人とは違った私」を演出しなければいけない少女、をいまだにつづけているという意味で、確かに非常識な女だった。 【才能がもつ特権】 才能がもつ特権の一つは明らかに、自らを浪費することにある。自身の才能に対して冷淡でありえるということ…