泣いた小説
とある業界の片隅に、ひとつの小説が生まれました。小説はブンダンという秘密結社に入りたいと切望していました。ブンダンに入るためには、ブンダン婆(バア)という遣り手婆に紹介してもらわなければなりません。 そこで「政治的に正しい小説です。どなたか紹介してください。すてきなSF的趣向や前衛的手法をとりそろえ、必要とあらば政権批判も致します」と書いた看板をサンドイッチマンのように体にとりつけ、ブンダン婆が現れるらしいと噂の街頭に夜な夜な立っておりました。 しかし、彼を見たセンパイ小説やヒヒョーカたちは「おい、見ろよ。あの小説は物語と一緒だぞ。なんと野蛮で反動的なんだろう」とひそひそ声で交わし合うと、まる…
2020/04/03 00:30