文字使用の始まり
日本に文字文化が生まれたのはいつごろのことだろうか。日本書紀では、応神天皇の15年(285年)に百済から王仁が『論語』と『千字文』をもたらしたのが公式な漢字の伝来となっている。『古事記』的に120年ずらせば405年だが、青銅鏡や剣に文字が現れていることから、実際はもっと早いと言うのが大方の見方だ。 だが、僕はもっと遅いと見ている。『千字文』の成立は518年頃であり、日本書紀の記事はそもそもがおかしい。『千字文』と言うことであれば、518年以降になる。文字は存在を知ればすぐに使えるものではない。習得のためには練習がいる。だから日本書紀執筆当時、文字使用に千字文のようなテキストが必然だとういう認識があったのだ。テキストの輸入は518年以後、文字の使用は600年近くだったに違いない。 文字文化の普及に筆と紙は不可欠だ。平安時代になってからでさえ木簡が使われたくらい紙は貴重だった。木簡..
2018/11/29 14:14