断想(8)

断想(8)

進んでも進んでも、そこには一物の影もない。何かを手にするとは、その何かを手放すためなのだと知る。闇を払おうとも新たな帳が手繰り寄せられるだけであり、何かを乗り越えるとは新たな何かに蹴躓くことだけを意味している。見いだすすべてはその価値を喪い、この身を苛む