冷たい熱‐3
「そういえば」「うん?」「前の、ああいうホテルって、未成年は入っちゃだめなんじゃないの」「ああ、うん。まあ、そうだけど」「あ」朝がからだを屈めて、わたしの食べていたバニラのアイスクリームにかぶりついた。黙って朝を見上げると、彼はへらっと笑い返す。「いいでしょ?おれのおごりなんだから」「だれも頼んでない」わたしはむっつりとアイスをプラスチックのスプーンですくって、口にふくんだ。昨日と同じくらいの時間に、また同じように通りを歩いてたら、見覚えのある髪の色が目に留まった。色とりどりの光の中、風景の中からその色だけが浮かんで見えた。「今日も来てたんだ」わたしがなんとなく歩み寄って、朝は相変わらず、へらへらわたしに笑いかけた。もう二度と会わないだろうなと思ってた。こんなにたくさんのひとがいる通りだから。でも、ここが朝にと...冷たい熱‐3
2015/06/20 21:32