清新/十七〈小説「新・人間革命」〉
清新/十七法悟空内田健一郎画(5842)大地震、大津波が発生した二〇一一年(平成二十三年)当時、元藤裕司は、学会にあって、大槌、釜石、大船渡、陸前高田など被害の激しかった地域の県長であった。その日、彼は内陸部で仕事をしていた。釜石の自宅には、目の不自由な義母、妻、娘、乳飲み子の孫がいる。携帯電話もつながらず、家族や同志の安否が心配でならなかった。まず自宅へ向かった。交通は規制され、身動きがとれなかった。翌朝、ようやく、わが家にたどり着いた。家の数メートル前まで津波が押し寄せたが、自宅も、家族も無事であった。御本尊に、ひたすら感謝した。しかし、安堵に浸る間もなく、総県婦人部長である妻の福代と共に、会員の安否確認に回るため、家を出た。街は一変していた。一面、瓦礫に埋まり、廃墟と化し、市街地に向かう道もなくなっていた...清新/十七〈小説「新・人間革命」〉
2016/07/04 05:37