『くるまの娘』(宇佐見りん著)【読書感想】
以前から気になっていた本を手に取った。宇佐見りん著『くるまの娘』。表紙の絵は、メリーゴーランドと顔のない女子高生。題名と合わさってどこか不穏な雰囲気をまとう一冊だ。 宇佐見りんさんの本を読むのは、芥川賞受賞作の『推し、燃ゆ』に続き2作目。『推し、燃ゆ』は、「推しが燃えた」という言葉から想像されるインターネットの有象無象に右往左往するような可笑しみのある話なのかと思いきや、「依存」をテーマにしたひたすらヘビーな物語で驚いた。そして驚くと同時に、どこか消化しきれないモヤモヤ感が後に残った。 今回読んだ『くるまの娘』も同じようなモヤモヤとした読後感が後に残る物語である。 読み始め、この物語はヤングケ…
2023/06/22 20:59