東京日記

東京日記

いまから五年くらい前のこと。ぞっこん惚れこんでいるのに、なにひとつ感想めいたことを書けない、という奇妙な作家と出会った。リチャード・ブローティガンである。『アメリカの鱒釣り』、『芝生の復讐』、『愛のゆくえ』などを読んで、もうとんでもなく好きになってしまったのだが、一冊、いや、一篇あたりの、「気に入る文章含有率」が高すぎて、もうなにも書く気にはなれなかったのだ。このままじゃあいかん、と思っていたとき、こんな詩集があったことを思い出した。薄い詩集なら、相対的に引用したい文章も減るにちがいない。これなら書けるかも、と、初めて思えた。 東京日記―リチャード・ブローティガン詩集 作者: リチャードブロー…