春にそよぐ
春の夕暮れ久しぶりによく晴れていた昏くなっていく青空には淡いピンク色のゆるやかなリボン神宮球場の横を歩いていたらわっと届いた歓声になんだか疲れているのになんだかにぎやかでうれしくなった人工の光強くなっていく周囲のビルの名前盛り上がってくるヤクルトファンだった父夕食どきによく野球を見ていたテレビが点いていれば私もなんとなく見てなんとなくお気に入りの選手ができたりして赤いグローブのブンブン丸とか結婚して家を出てそういうこともなくなったスポーツ観戦には興味がない大勢の人と興奮のもとに連帯することにもだけどにぎやかだとうれしいのはなぜだろう歳を重ねるにつれ親族は減りさみしくなっていく身辺街灯が静かに照らす夜道のようにひっそりしている私の内面自分では出せないエネルギーをたくさんの誰かが放出して大気を満たしているそん...春にそよぐ
2024/06/19 23:10