第600話 時として一瞬に選択される未来4
我が子が生まれたのは、春先のことだ。とはいっても、札幌では雪が積もり、春を感じるのは当分先である。結婚する際、妻からあることを言われた。「私は妊娠ができないかもしれない。それでもいい?」僕にはそんなことはどうでもよかった。もちろん、子を持ち、親になるという未来がないというのは思うところがあるが、それでも2人の生活を満喫できるとすれば、大きな弊害ではなかった。そんな決断をしたこともあって、僕は妻と楽しく過ごすことができた。お互いがお互いのやりたいことをできたし、相手を束縛しない性格もあって、大きなけんかもほとんどしなかった。しかし、妻はというと、自分から言ったものの、やはり子どもを授かりたいという気持ちがあったのだ。きっと、それは男性よりもはるかに強い思いだろう。そして、僕はまた自動販売機で好きな飲み物を決めるよ...第600話時として一瞬に選択される未来4
2014/08/22 17:58