疑似短編集冬の霧 二の②(疑似凝縮社会)
冬の霧二の②(擬似凝縮社会)全国で盲養護老人ホーム、及び盲特別養護老人ホームの数は七十七を数える。両施設合わせた収容人員は五千六百名に達しているが盲養護老人ホームは入所定数五十名の施設が多く、施設の数では盲特別養護老人ホームの倍以上ある。盲老人福祉施設の入所者のうち全盲が五五㌫、光覚弁、手動弁併せて二〇㌫、弱視が二三㌫残りの二、三㌫が普通に見える人が入所している。要するに夫婦で入所する場合、どちらかに視覚障害がある場合入所出来たので、普通に見える人も視覚障害者施設の入所者になっている。病気やいざこざもなく単調な生活が続いていた。フミは一日の流れや入所している人たちの名前も覚えたが、元来、人と接することが苦手だったフミは食堂やトイレに行く以外は居室にいた。「あんた生まれは何処かいな?」同室の飯田とも乃が話し掛けて...疑似短編集冬の霧二の②(疑似凝縮社会)
2019/11/06 09:32