思い出の道 (18)
2房のバナナを飯台に置いて「さあ皆で食べよう」と言ってドカッと座った。当時バナナは高くて滅多に食べられないご馳走であった。3人が黙々と食べ始めた。「どうだ、彰ノ介、美味いだろ。もう一つ喰ってもいいぞ」それは舌を溶かすような美味しさであった。僕はあっという間に2個食べて御飯に切り替えた。3人での食事は幾カ月ぶりであろう。それはそれで嬉しいのであるが雰囲気はぎくしゃくしていた。僕はさっさと食事を終え、読みかけの本の続きを読むために大急ぎで布団の中にもぐりこんでうつぶせになった。僕が一緒だとやりづらいだろうという配慮もあった。僕は僕なりに神経を使っているのである。聞き耳立てて様子を伺っていたがどうやらお金の話ばかりであった。静かに話し合っていた。僕は安心して本を閉じ、眠りに就いた。僕は5年生になった。級長とか学校委員...思い出の道(18)
2019/01/27 14:40