トランプサイズの手製本を作っている装丁家の、忘れ得ぬ本、出会った人々、作品のエピソードなどを語る。
豆本 ミニチュアブック 手製本
はらりと旧い紙片が膝に落ちた。ーー井亀あおい『アルゴノオト』ーー 読んでみたい本の覚書である。これを書いた頃はネット検索などなかったので、手に入れられぬまま、20年近く紙片を取っておいたのだろう。早速検索して本を取り寄せると、これは1977年に17歳で投身自死した少女の日記であり、遺稿集『もと居た所』(共に葦書房刊)も刊行されていた。 「アルゴノオト」とは、ギリシャ神話で金羊毛を探しに行くイアソンのアルゴー船の乗組員を意味する。中学2年(1973)から1977年に自死する前日まで書いていた12冊の日記のタイトルである。 井亀あおいは、1960年熊本市に生まれる。父親は、毎日新聞西部本社報道部勤…
「ブログリーダー」を活用して、nerineさんをフォローしませんか?