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2014/03/10

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  • 『入門現代の量子力学』補足

    教科書の第3章に関連したコメントがあったので、補足をします。この教科書は、既存の実験結果、もしくは未知の対象系に対して実験で将来検証可能な形の仮説を与え、それを用いて沢山存在する理論の可能性の中から、量子力学という1つの定式化を作っていくというスタイルです。第3章では、第2章の2準位系の量子力学の定式化を多準位系に拡張することが書いてあります。 そのコメントとは、「多準位系で純粋状態が複素列ベクトルで表せることや、そのボルン則を示すことなどを演繹的に示すのは、強引な前提を導入しない限り難しいのではないか」「なぜ多準位系で複素ベクトル空間を考える必要があるのかを論理的に説明することは困難だろう」…

  • 『入門 現代の量子力学 -量子情報・量子測定を中心として-』

    講談社サイエンティフィクから拙書『入門 現代の量子力学 -量子情報・量子測定を中心として-』が出版されました。目次は下記のようになっております。 【目次】第1章 隠れた変数の理論と量子力学第2章 二準位系の量子力学第3章 多準位系の量子力学第4章 合成系の量子状態第5章 物理量の相関と量子もつれ第6章 量子操作および時間発展第7章 量子測定第8章 一次元空間の粒子の量子力学第9章 量子調和振動子第10章 磁場中の荷電粒子第11章 粒子の量子的挙動第12章 空間回転と角運動量演算子第13章 三次元球対称ポテンシャル問題第14章 量子情報物理学第15章 なぜ自然は「量子力学」を選んだのだろうか付録…

  • アインシュタインのタイポ

    今回の英国出張で最後の訪問地はノッティンガム大学。セミナーを行うために、友人のヨルマ・ルーコさんとシルケ・ワインファートナーさんの研究室へ。 そのときにヨルマさんが見学させてくれたのが、1930年6月6日に英国のドイツ協会が開催した講演会でアルバート・アインシュタインがドイツ語で書いたこの板書。一般人向けだったらしく、数式も少ないものになっている。 ただ面白いのは、デカルトの名前のスペルが間違っている部分。 デカルトはDescartesと書くが、「c」が「k」になっている。例え保存される板書でも、アインシュタインはタイポなんか気にしなかったのだろう。彼らしいエピソードだ。 シルケさんの実験室の…

  • ニュートン、マクスウェル、ホーキング

    いまイギリスに来ている。9日間という短い期間に、ロンドン、ケンブリッジ、ノッティンガムを回る強行軍の出張だ。 最初のロンドンでは、ここの学術査読雑誌のEditorial Boardをしている関係で英国王立協会を訪問。ここはイギリスの科学の長い歴史が詰まっている場所でもある。 アイザック・ニュートンもかつてここの協会長をしていた。1703年から1727年の間勤めていたらしい。いろいろある貴重な資料の中から選ばせて頂いて、まずはニュートンの有名な『プリンキピア』の手書き原稿を見せてもらうことにした。 保存のために1枚1枚綺麗に現代の用紙に貼られてファイルされていた。 揮発性洗剤を含んだ備え付けのテ…

  • エントロピック重力理論

    最近、オランダのエリック・フェアリンデさんが提案したエントロピック重力理論が世間で注目を集めている。これはオランダの観測グループが銀河による弱い重力レンズの効果を使って彼の理論の検証を行い、データと整合したという論文を出したからだ。 フェアリンデさんは、長距離では重力の強さが変化して、みかけ上暗黒物質(ダークマター)があるように振る舞うという主張をしていたため、観測と矛盾しないという観測結果からダークマターは実は不要だったとか、エントロピック重力理論は正しかったとかと、断定的に受け止めた方も多いようだ。 しかしこの彼の"理論"は、完成した理論ではない。根拠の確立していない多数の仮説を沢山組み合…

  • 量子論で、自分の脳を自分で観測するということ。

    コペンハーゲン解釈では、測定者と測定対象の量子系を「合理的に」分離できたときに初めて、量子力学は使える形で定式化されていると、これまで説明してきた。 (下記まとめを参照。http://togetter.com/li/758266) 例えば図1は1つの量子的なスピン系を外部観測者が測定をする設定であるが、これは合理的分離が実現している典型例である。 しかし自分の脳を、いろいろな機器を用いて「自分自身で」モニターする場合は、この合理的分離に当てはまるのかという質問も出ることがある。 例えば、自分の脳の量子的状態重ね合わせを、脳からの信号を取り出しながら、自分自身で観測できるのかという問題だ。 答え…

  • 【量子とドクターY】 (出会い編)

    その頃、病理医のY氏は、多忙をきわめていた。 いつもの業務に加えて、新しい研究を立ち上げ、それをもとに論文を書くつもりであった。 その日も、実験に協力してくれるアルバイトに集まってもらい、あるテーマに沿ったデータを彼らから収集するはずだった。 身長、体重、そして血圧の高いほうの値だけを調べれば、今回の研究で知りたいことは十分な精度で確定する。 そこでY氏は、この3つの数値を体の状態と呼ぶことにし、順番に測ることにした。 その集まってくれたバイトの中に、あの不可解な彼女、量子が、混じっていたわけだ。 その外見はまるでモヤのかたまりのようでもあり、目を凝らしても蜃気楼のように揺らいで姿が良く見えな…

  • 量子テレポーテーションでアリスとボブの間のどこを量子情報は飛んでいくのか。

    量子テレポーテーションは、一般の方から見てやはり不思議な現象だろう。 この世の中の全てのモノの本性である、量子情報。そしてその集まりとしての量子状態 ψ〉(または波動関数ψ(x))を、ランダムに吐き出された測定結果を遠隔地に伝えるだけで転送することが可能だ。 以前書いたブログ「量子テレポーテーションは、本当はテレポーテーションではないのか。 」でも、その概要は触れた。 そこでも説明したように、送り手のアリスとっては、量子情報が瞬間的に移動したように見える。 (ただその量子情報を受け手のボブが使えるようになるには、光速度以下で届く測定結果を知る必要があるが。だから因果律は破れない。) ボブにとっ…

  • ペリメータ理論物理学研究所でのウンルーさんの古稀祝い

    昨日までカナダのペリメータ理論物理学研究所でウンルーさんの70歳を祝う国際会議があった。 彼の人柄もあって、大変暖かい集まりになった。 初日の最初の講演は、一般相対論の教科書でもお馴染みのワルド(Robert Wald)さん。 タイトルは”Information Loss”でブラックホール蒸発における情報喪失問題の状況を概観する内容。 ホーキングが最初に言った半古典的理論での情報喪失過程に対して、近年異なる可能性がいろいろ考えられていて、それを順番に説明してくれた。 重力崩壊の初期に既に量子重力の効果が及んでブラックホール自体が形成されないシナリオであるファジボール(毛玉理論)や、ブラックホー…

  • デコヒーレンスは多世界解釈の観測問題を解決しているわけではない。

    デイビッド・ドイッチュがあちこちで「量子コンピュータが圧倒的に速いことは多世界解釈が正しい証拠」と宣伝しており、またそれを扇動的に扱う科学記事も人気を集めているため、世間では多世界解釈は完成された量子論解釈と誤解している人がこの10年くらいで増えてしまったように思う。 多世界解釈では宇宙全体を記述するただ1つの波動関数が実在しており、図1のように時間とともに様々な宇宙の量子的線形重ね合わせに進化する。 ここに出てくる各宇宙に異なる計算作業を分担させて巨大な並列計算を量子コンピュータは行うために古典コンピュータに比べて指数関数的に速いのだとドイッチュは説明するのだ。 また他にも、コペンハーゲン解…

  • タキオン粒子間の重力は引力か、斥力か。

    前野さん(@irobutsu)にツイッターでタキオンについていろいろ教えてもらっているうちに、意外なことが分かって面白かった。 タキオンは光速度より速く運動する粒子であり、因果律を破るため存在しないと考えられている。 しかしSF業界では多大なインスピレーションを与える源泉でもあり、多くの人に愛されている存在でもある。 問題は、2つのタキオンの間に働く重力は引力か、斥力かというところから始まった。 タキオンは超光速で運動するため、慣性質量の2乗が負になると通常言われている。 素朴に考えれば、これは純虚数の慣性質量をもつ存在だ。 これをまた素朴にニュートンの公式F=-G(m^2)/(r^2)に代入…

  • YQIP2014最終日。

    昨日はYQIP2014の最終日。 最初の講演はシュッツホルトさんで、スピンネットワーク系における量子エンタングルメントのモノガミーを平均場近似の誤差評価に使う強力な定理のお話。 また次の講演は遊佐さんの、量子ホール系を用いた量子エネルギーテレポーテーションの実験提案の話。 最終日なのに疲れも知らないが如く、多数の参加者の皆さんがこの日も参加されて質問やコメントを沢山出して下さり、大変盛り上がった最後のセッションとなった。 今回本当に多くの参加者の方々に集まって頂き、期間を通じて活発な議論が講演会場、隣接する休憩部屋、そしてポスター発表の部屋等のあちこちで行われていて、新しい研究が生み出されてい…

  • YQIP2014、3日目。

    3日目の昨日は超弦理論や場の理論における量子情報のセッションと、全体のポスターセッション。 招待講演者のヘドリックさんは場の理論(特にCFT)におけるエンタングルメントエントロピー(Entanglement Entropy)の計算の話。 多分野の研究者のためのイントロを沢山用意して下さったのだが、質問も沢山出てご本人のお仕事の部分を詳しく話す時間が無くなってしまった。 だがそのおかげで場の理論のEEに詳しくない研究者の方々の間で多くの知識を共有できることにもなった。感謝。 午後のポスターセッションは初日にあった1人5分間のプレポスター口頭発表セッションの効果もあってか、他研究会ではなかなか見ら…

  • YQIP2014、2日目。

    YQIP2014の2日目。午前のセッションの最初の招待講演はレズニックさん。冷却原子にQCDなどの非可換ゲージ理論の計算をさせる量子シミュレータのお話。 非可換ゲージ理論を解析的に解くのはとても難しい大問題。 現在では大型計算機(もちろん量子計算機ではなく、並列型の古典計算機)をフルに活用して研究が進められているが、それでもモンテカルロシミュレーションの負符号問題などのため、本当に欲しい精度の計算を行うことは大変な現状。 これを冷やされた原子の集団に短い時間量子的に動いてもらって、計算結果を彼らから教えてもらうことを目的にしているのが今回の内容。 この場合負符号問題は回避できるので、現在よりは…

  • YQIP2014始まる。

    いよいよYQIP2014が始まった。 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~yitpqip2014.ws/ 国内外から多数の参加者の皆さんが集まって下さり、感謝。 初日はウンルーさんのトーク(上の写真)からスタート。 今回は参加されている方のバックボーンが様々なため(量子情報、統計力学、物性、一般相対論、超弦)、本題の前に30分の一般相対論イントロ・ミニマムを彼にお願いしてしまった。 事象の地平面を滝に落ちる川の水の中にいるサーモン(多分カナダの)の例で分かりやすく説明するところから始まり、直径1m程度の風船を使って時空の曲がりをデモンストレーション。 そしてペン…

  • ブラックホール蒸発過程における量子エンタングルメントの時間発展

    ソウルで行なわれた相対論的量子情報の会議RQIN2014(http://physics.korea.ac.kr/RQIN2014/ )で、ドン・ペイジさんとブラックホール防火壁(ファイアーウォール、firewall)仮説について長く議論するチャンスに恵まれた。 彼は防火壁仮説の基礎になっているペイジ曲線の提唱者であり、ポルチンスキーさんらによって提唱された防火壁仮説はペイジ曲線の観点からも深刻なままという立場をとっていた。 彼はとても気さくな人であり、かつ物理の議論を好み、そして楽しむ方でもあったので、数日に渡る議論は自分にとって大変刺激的なものになった。 ペイジ曲線の話はペイジ時間とともに下…

  • 量子テレポーテーションは、本当はテレポーテーションではないのか。

    量子テレポーテーション。 最近よく聞くバズワードかと思う。 物理学の世界においてこのテレポーテーションは実験もなされ、応用が試みられる段階だ。 しかし一般の方々の中には、本当に人類が瞬間移動の術を手に入れたと勘違いされている人もいらっしゃるようだ。 それに対して物理の専門家は、量子テレポーテーションでSF的な瞬間移動装置を作るのはできないことも説明してきた。 この事実を強調することはとても意義があることだと思う。 このプロトコルではある古典的な情報を相手に伝える必要があるため、情報通信の最大速度である光速を超えてテレポーテーションを起こすことはできないのだ。 そのため物理学でいう「因果律」も破…

  • 「量子的」と呼ばれつつ、古典的な本質をもつ現象

    「量子的」と思われているいくつかの現象の本質が「古典的」であることは、案外知られていないようだ。 弱測定における増幅効果もそうだし、量子消しゴム(量子消去)をレーザーポインター等の日常の道具を使って確かめようとする実験も、実はそのような例になっている。 本質的に量子効果でしか起き得ない「量子的な場合」と、古典力学でむしろ馴染みのある現象を量子的環境にも適用している「量子的な場合」の区別は重要かもしれない。 今回はこのことについて述べてみよう。 まずは弱測定の増幅効果(amplification effect)の話からいこう。 (弱値、弱測定についての基礎的な話は http://mhotta.h…

  • 量子エンタングルメントを使って量子系から沢山の情報を取り出す方法

    量子エンタングルメントは、量子情報科学における量子テレポーテーションや量子コンピューティング用の資源として知られている。 今回は様々な物理学分野における精密測定の資源としても使える可能性がある、量子エンタングルメントの側面を紹介しておこう。 現時点でこの技術を使っているのは量子光学系の実験が主だが、これからは半導体を含む様々な物性系や素粒子・原子核系の実験、そして宇宙観測の技術にも入り込んでいく可能性もある。 物理学の多くの実験では、未知の相互作用プロセスの解明を目的にしている。 例えばヒッグス粒子の発見も、この粒子が関わる反応を精密に測定して達成されたものだ。 特に微小な結合定数等のパラメー…

  • 物理学における存在とは?

    「存在とは何か?」という問題は、本来実に根が深い。 例えば、相対論的量子場の真空状態 0〉を考えよう。 普通の慣性系での量子化では、真空は粒子数が零の状態だ。 またエネルギー密度の期待値もどこでも零だ。 そして図1のように慣性運動している測定機Aで測っても、粒子は観測されない。 空っぽの「無」の状態そのもののように思える。 しかしFulling-Davies-Unruh効果、通称「ウンルー効果」という面白い現象が知られている。 図1のBのように真空中を一様加速度運動をしている測定機は、あたかもその加速度に比例する温度の熱浴の中にいるように振る舞うのだ。 またこの一定の加速度κで運動している測定…

  • 量子情報物理学研究会YQIP2014の発表申し込み締め切り1か月前のアナウンス

    2014年8月4日から7日に京都大学基礎物理学研究所において量子情報物理学の国際集会を開催する。 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~yitpqip2014.ws/ 現在参加登録及び口頭発表、ポスター発表の募集中。国内外の多くの方々に参加を呼び掛けている。 発表応募の締め切りは5月31日、参加申し込み期限は6月30日。 なおYQIP2014終了の翌日からは同じ会場で、以下の量子情報の若手向けのスクールがあるそうだ。 基研研究会「若手のための量子情報基礎セミナー」 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~qisc2014.ws/ 若手の…

  • 時間とエネルギーの不確定性関係と、相対性理論

    時間とエネルギーの不確定性関係は、世間で誤解されている側面が強い。 測定時間とエネルギーの測定誤差には不確定性関係があると信じられてたり、そのため短い時間ではエネルギー保存則は破れてもいいと考えられたりしている。 これらは以下の記事でも言及されているように、全くの間違いだ。 http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/26/061840 http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/03/11/155744 量子力学において時間はエルミート演算子で書ける物理量ではなく、4次元時空の中の空間的(spacelike)な3次…

  • トンネル領域で粒子を見つけたら、その足らなかったエネルギーはどこから来たのか?

    ツイッター(@hottaqu)で、次の問題を出してみた。 例えば1次元空間で図1のようなポテンシャルの中の粒子を考えよう。 基底状態のエネルギーEは、原点付近のポテンシャルVoより小さい。 しかし、エネルギーが足らないため古典的には粒子の侵入を許さない領域にも、基底状態の波動関数は浸み込んでいる。 「トンネル効果」である。 従って粒子が原点周辺に見つかる確率は、零ではない。 しかし原点付近に粒子が見つかるとすると、その足らなかったエネルギーはどこから来たのか? それが「問題」である。 測定の結果、例えば図2のように粒子がある点x=ξの周辺に局在した波動関数u(x-ξ)になる。 この状態では明ら…

  • 測定時間とエネルギーの測定誤差の間に不確定性関係はない。

    量子論で有限の時間ではエネルギー保存則が破れるという間違った説明が様々な大学の授業で教えられているようだ。 特に素粒子や場の量子論の講義の中で、重い粒子が媒介して力を伝達するという部分においてこのような説明がなされているらしい。 この誤解は、有限時間ではエネルギーは正確に測れないという、時間とエネルギーの不確定性関係の間違った理解から出ているようだ。 もちろん時間変動を測り続けてフーリエ変換をするような、時間をかけないとエネルギーが測れない悪い測定も存在する。 しかしエネルギーを測る誤差は、本来測定時間と全く無関係である。 今回はそれを説明しておこう。 そのためにまず「理想測定」とは何かという…

  • 量子エンタングルメントと時間の矢

    セス・ロイドさんは、量子メカニックを名乗る、猛烈に頭の回転が速いMITの教授である。 量子情報分野では多くの良いお仕事をされており、また「宇宙をプログラムする宇宙」(早川書房)等のポピュラーサイエンスの本の著者としても有名である。 1988年の彼の博士論文での研究[1]が記事[2]に取り上げられていた。 今回このセスさんが考えていた周辺のことに触れてみたい。 量子エンタングルメントと時間の矢の問題である。 但し理解のための準備も必要なため、少し違う情報理論の入口から入っていこう。 まずアリスが1ビットの古典情報が書き込まれている電子スピンを持っているとしよう。 例えばz軸方向のダウン状態を0に…

  • 8月に京大基研で行われる若手量子情報夏の学校

    8月の量子情報物理学の基研国際研究会YQIP2014 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~yitpqip2014.ws/ の直後から同じ会場で開かれる、量子情報の若手夏の学校の案内が公開された。 基研研究会「若手のための量子情報基礎セミナー」 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~qisc2014.ws/ YQIP2014は8月4日から7日。夏の学校は8日から10日。同じ基研パナソニックホールで開催。若手の方は両方をまたいで参加して頂ける日程設定になっている。YQIP2014では発表をする若手の方を中心に、少し旅費、宿泊等の補助がで…

  • 鉛筆とインフレーション宇宙とスクィーズド状態

    とねさんの日記の「鉛筆はどれくらいの時間立っていられるか?」という記事に、量子揺らぎとマクロな揺らぎを繋ぐJJサクライの問題が出ていて興味をひいた。 教科書のほうにはアイスピックを例として書かれていたようだが、NHKの番組では鉛筆が登場したため、とねさんも鉛筆で説明してくれている。 問題は以下のものである。 "ハイゼンベルクの不確定性原理だけが制限であるとき、鉛筆をとがった芯を下にして垂直に立てたとき、つりあいが保てる時間を見積もりなさい。鉛筆の芯を支えている表面は堅いとする。鉛筆の長さと質量は適当な値を仮定し、つりあいが保てる時間を秒単位で求めなさい。ただし「つりあいが保てる」とは鉛直線に対…

  • 波動関数の収縮はパラドクスではない。

    コペンハーゲン解釈を学ぶ時、一番最初にひっかかるのは「波動関数の収縮」という概念ではないだろうか。 ある量子系を測定して結果を得た途端、その状態は瞬間に別な状態へと変化するという、あの話だ。 古い教科書で学んだ先生方からは、「そんなことは気にするな。まずは計算ができるようになれればいい。(Shut up and Calculate!)」と親切なアドバイスを受けた人もいるだろう。 それでも何か気持ち悪い感じが残っている人も多いらしい。 従来の教科書ではコペンハーゲン解釈の本質的パーツの説明が抜けているから、こういう消化不良を起こすのだと思われる。 「コペンハーゲン解釈では波動関数(量子状態)は物…

  • YQIP2014発表応募締め切り2カ月前のアナウンス

    2014年8月4日から7日に京都大学基礎物理学研究所において量子情報物理学の国際集会を開催する。 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~yitpqip2014.ws/ 現在参加登録及び口頭発表、ポスター発表の募集中。国内外の多くの方々に参加を呼び掛けている。 8月8日からは量子情報若手の夏の学校が同じ会場であるので、多くの国内の若手の皆さんにも連続参加して頂くことに期待。 発表応募の締め切りは5月31日、参加申し込み期限は6月30日。 Invited Speakers: Matthew Headrick (Brandeis University) Benni Re…

  • 量子生物学(Quantum Biology)

    COST2014でプレニオさんが量子生物学の講演をしていた。 https://erez.weizmann.ac.il/pls/kns/kns_pack.showfile?pcode=879 彼は量子情報ではこれまで良いお仕事をされてきたという評価のある人だが、最近は生物分野での量子効果を研究している。 私は量子化学と量子生物学の境界や包含関係がいつも分からないのだが、それは私のせいではない。 この量子生物学が新しい分野すぎて、今後どのように発展していくか誰にも分からないのだ。 その価値も未知数である。 今回プレニオさんは光合成、鳥類が用いる磁場的方向センサー、そして人間の嗅覚を取り上げて紹介し…

  • ぼくらが旅に出る理由

    と言っても、小沢健二の曲のことではない。 科学者達が世界を股にかけて旅をする理由のことだ。 昨今ではネットでつないだテレビ会議もよく行われているが、それでは得られない大切なものがリアルな国際会議にはある。 テレビ会議やメールでは決まった相手としか議論はできないし、自分達の研究も知らせることはできない。 国際会議に行くといろいろな分野の研究者が世界中から来ており、多くの刺激が待っている。講演はもちろん新しい知見に触れられるものとなる。 しかしその合間のコーヒーブレイクやランチ、ディナーでも知らない人に自己紹介をしつつ相手の研究内容を聞いたり、こちらの研究を教えたりできるのだ。 偶然隣に座った人が…

  • 量子力学を学ぶ学生の方に

    ぜひ目を通してほしい記事があります。時間依存の摂動論を学ぶとき、不確定性関係の間違った理解をしないようにしましょう。⇒「摂動論と、"時間とエネルギーの不確定性関係"という名の幻。」http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/03/11/155744 にほんブログ村

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