「棒を振る人生」 佐渡 裕
演奏会はサーカスの綱渡りに似ている。綱を渡るパフォーマーが綱から落ちてしまっては困るが、絶対落ちないとわかっているのもつまらない。落ちそうで落ちない、サーカスの面白さは、そのハラハラドキドキのスリリングな緊張感にある。演奏会でいえば、もちろん演奏が破綻してはいけない。では、安定していればいいかというと、これもまた面白くない。言ってみれば、指揮者はオーケストラに綱渡りをやらしているようなものなのだ。「棒を振る人生」指揮者は時間を彫刻する佐渡裕PHP新書72ページ「棒を振る人生」佐渡裕
2020/08/31 13:16