空蝉
一回り年下の友人が亡くなられた 入院して三か月も 経たずのことだった 一緒にお茶を飲んで別れた者たちには 信じられない出来事だった 病院嫌いで 検診を受けるのも敬遠していたと 後で聞いた 夜 北側の網戸に 羽音もたてず蝉がとまっていた それは 理由もなく彼女をおもわせた 朝 網戸に蝉は無く 南側のベランダに毛布を抱えて出ると 目の高さに 昨夜の蝉と思われるのが 羽の模様を浮きあがらせるようにとまっていた 彼女が別れをつげにきたのだ と私は思い込むことにした 次にベランダに出た時 蝉の姿はなかった にほんブログ村
2019/08/05 16:13