30

30

アルターは寝入るフィオンを抱え無事にタルティーンへと戻ってきた。以前コリーニョが走って行った場所を思い出し、その家に向かう途中「フィオン!」と女性の悲鳴のような呼び声に足を止めて其方を見る。駆け付けてきた女性はアルターからフィオンをひったくるように奪うと懸命に声をかけ、それでも目を覚まさない様子にアルターを怪しんで涙目で睨み付けた。アルターは自分がフィオンを誘拐したのではとこれ以上疑われないよう「...