「静かな町、雲、檜林」

「静かな町、雲、檜林」

六年ぶりだった。 卒業してから、一度も来たことはなかった。校舎は辺鄙な場所に在ったし、これといった用もなく、無精な性格のそのままに、足が遠のいていたのだ。 一月も終わりに近づいた冬の頃、数ヶ月前につまらない理由で仕事を辞め、二月から勤める新た...