卒業 ~片想いふたつ~

卒業 ~片想いふたつ~

卒業の歌が流れる中、あたしは覚悟を決めた。 学生生活も今日が最後だ。 粛々と進む式典の中、二列前に座る大好きなナナの背中が、感情の昂ぶりを押さえているのかかすかに震えている。 きっと卒業の寂しさを胸に抱え、別れの切なさに揺れながらも、片想いの相手に告白するかやめるか、最後の最後で迷っているに違いない。 大丈夫だよ、ナナ。 あなたが迷うなら、あたしが導く。 あなたが怯むなら、あたしが背中を押すよ。...