『桜の園』/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

『桜の園』/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

没落貴族のラネーフスカヤ夫人が、娘のアーニャと共に、5年ぶりに「桜の園」へと帰ってくるところから物語は始まる。6年前に夫と小さな息子を立て続けに亡くした夫人は、失意の内にパリへと逃亡、愛人のもとで暮らしていたのだ。ひさびさに帰還する領主を「桜の園」の人々は暖かく出迎えるが、彼らがそこで過ごすことのできる時間はほとんど残されてはいなかった。「桜の園」は借金のカタに競売にかけられることになっていたのだ。やれ困ったことだ、いったいどうしたものか、まったく昔はよかったよ…などと皆で語らい合っているうちに時は過ぎ、いよいよ競売の日が訪れる…! 本作でまずおもしろいのは、誰も本気で「桜の園」を守りたい、と…