パウリンに導かれて《第13章5》

パウリンに導かれて《第13章5》

ゼロは我が耳を疑った。 放たれた言葉があまりにも衝撃的すぎて……。 ――形だけの……妻? 歓喜した途端、奈落の底に突き落とされたような気分になり、その言葉だけが幾度となく頭の中を駆け巡る。 《そうか、そう言う事か……。今更、この私が……。ありえんな》 内に秘めていた言葉を飲み込むと、ローレライが自分に抱いてくれている好意の形が、自らの求めているものと大きな違いがある事を理解し、自嘲気味に鼻先で笑った。 ロー...